「ディスカウント」の言葉に要注意。有名品こそ気をつけたい世界のお土産

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2023/02/03

インドやネパールの「パシュミナ」

image by:Shutterstock.com

最後は、ネパールの「パシュミナ」です。このパシュミナとは、カシミアよりも繊細で肌触りのいい毛織物として知られていて、原料のウール(羊毛)はインドのカシミール地方で採られます。

カシミール地方とは、インドの西北にあるエリアで、ヒマラヤ山脈の西部に位置しています。インドとパキスタン、インドと中国で領土問題がある微妙なエリアで、世界史の教科書にも登場していました。

日本の外務省によれば、このエリアは現在、危険度がマックスのレベル4で退避勧告が出ています。

<退避してください。渡航は止めてください>(外務省『海外安全ホームページ』より引用)

このカシミール地方に暮らすカシミヤヤギの最上級の細い(細番手の)ウールから、手織りで作った希少な極薄の毛織物が、パシュミナです。

当然ですが流通量は絶対的に少ないはずなのに、例えばネパールのカトマンズにあるタメル通りを歩くと、それこそいくつものお店で売っています。

image by:Damian Pankowiec/Shutterstock.com

しかも、お店に入ると「君は本日、初めて訪れてくれたお客さんだ。だから、君にだけ特別にディスカウントしてあげる」などといって、最高級の看板商品であるパシュミナをいきなり値引きしてくれます。これだけ考えても、絶対にうさんくさいですよね。

服飾関係の人に聞いてみると、「パシュミナそのものの定義もあいまい」だとかで、「安い商品の実態はもっとランクの低い羊毛で作った織物の場合がほとんどなのではないか」といっていました。確証はないみたいですが、どこで買い物をするときでも、ひとつの意見として参考にしたいですね。

このように海外旅行を訪れると、現地の新鮮さや目新しさに惹かれて、さまざまなものを購入してしまう気持ちはわかります。実際に「ここでしか買えない」「安くしてあげる」といわれると、特別な感じがしますし、やっぱり魅力的に思うものです。

しかし場合によっては日本で罰せられる可能性のある違法なものも少なくありません。そして違法ではなくてもフェイク商品かもしれません。そんなリスクを避けるためにも、現地で買い物をする際は十分に気をつけて、甘い言葉にのせられないようにしたいですね。


  • image by:David Bokuchava/Shutterstock.com
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  • ※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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