まさにノスタルジック。情緒あふれる長野「渋温泉」で九湯めぐり体験
絶景の露天風呂や新鮮な海の幸に山の幸に舌鼓など、温泉のお楽しみはいろいろとありますが、温泉街を浴衣で闊歩こそ正しい“温泉情緒”の嗜み方ではないでしょうか。
宿に着いて荷物を置き、まずは浴衣に着替え一風呂浴びてから散歩に出かけるあの感じは、特別なことをせずともなぜかとてもわくわく。今回は、そんな温泉街歩きがとびきり楽しい長野県の「渋温泉」をご紹介します。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
レトロな街並みに浮かびあがる、古きよき時代の温泉情緒
長野県北部、志賀高原の玄関口として西の麓に位置する渋温泉は、開湯が奈良時代ともいわれる歴史の古い温泉で、一帯は「湯田中・渋温泉郷」と呼ばれています。
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夜間瀬川の支流となる横湯川沿いに、木造3~4層建ての旅館が建ち並ぶ石畳の通りが600mほど続き、その様子はあたかもそこだけ時が止まったかのよう。
メインストリートとなる石畳の通りから一歩脇道へ足を伸ばせば、迷路のようにくねくねと細い路地が伸び、軒を連ねる宿屋の合間には共同湯が点在します。
ノスタルジックな風情にあふれる温泉街には、石畳を鳴らす下駄の音がこだまし、夜闇の中に浮かぶ浴衣に丹前姿の温泉客たちの姿もまたなんともフォトジェニック。
燻し銀のような古い看板をかかげる土産物屋や、開け放たれたガラス戸の玄関の向こうにのぞく畳の広間、桶を片手に共同浴場へと歩く地元の人の姿など、垣間見る風景がどれもレトロでいちいち心に染みるのです。
実は、渋温泉は明治初期の大火でそのほとんどが焼けてしまったので、江戸時代の街並みは失われてしまっているのですが、すでに令和を迎えた現在において明治や昭和初期の木造建築でも十分に新鮮に映ります。
ちなみに、最も古い建物が、かつて真田家の本陣をつとめた「つばたや旅館」。
そして、映画『千と千尋の神隠し』のモデルのひとつではないか?といわれる「金具屋」も昭和の独創的な建築で、その職人技と遊び心あふれる建築美は一見の価値あり。フォトジェニックさでも群を抜いています。
金具屋は夜になると外観がライトアップされ、一層幻想的。その風景を写真におさめようと集まる温泉客の姿が絶えない人気のスポットとなっています。