湯に、宿に癒される。冬季は幻となる乳頭温泉郷の秘湯「黒湯温泉」

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2022/11/05

“いい湯を楽しんでもらいたい”宿の気持ちが伝わる心配り

こんなふうにあちこちに案内板があることにもスタッフさんの心配りが感じられます。image by:小林繭

泉質、ロケーション、そして風情あふれる素朴な湯屋、と基本的に秘湯の条件を兼ねそろえた宿であることはすでにおわかりかと思います。

しかし「黒湯温泉」の魅力を作り出しているのは、実は旅人が思わずほっこりせずにはいられないさりげないホスピタリティの充実にあるのではないかと思います。

黒湯温泉マップ。これを見るとそこそこ広い宿だということがわかります。image by:小林繭
新鮮な沢清水は自然の冷蔵庫!image by:小林繭

例えば、受付棟のすぐ横にある気の利いた手描きのマップ敷地内の案内板のデザインが可愛いこと、目にも涼やかな山の清水にはラムネが冷やされていること。

売店では「黒湯」ラベルの日本酒も販売されていました。image by:小林繭

小さなスペースに並ぶ土産物のセレクトにもこだわりが感じられることなどなど、ひとつひとつは他愛もないことですが、そんな小さなポイントポイントにちょっとした気配りが感じられるのがいいなと思うんです。

朝食。image by:小林繭
思わずほっこりしてしまう珈琲の看板。image by:小林繭

地の旬菜をたっぷり添えた食事が美味しいのは言うまでもありませんが、山奥にあって旅人を喜ばせる秋田の食や酒を提供してくれるのみならず、食堂(ランチ営業)や美味しいコーヒーや生ビールが飲めるカフェ(喫茶室)まで用意されているところにも、懐の深さがうかがえます。

昔ながらの湯治場の文化をいまにつなげようと大切に守りつつも、泉質のよさだけに頼ることなく、現代社会に合った居心地のよさも追求。ぞんぶんに温泉を楽しんでもらえるようあたたかなおもてなしが用意された宿といえるのではないでしょうか。

これまで、極上湯に胡座をかいているうちに時代に乗り遅れてしまい、宿としては残念なケースをいくつも見てきただけに、この「黒湯温泉」の在り方には思わず拍手を贈りたくなりました。


自炊部外観。image by:小林繭

ちなみに「黒湯温泉」には食事付きの旅館部のほか、自炊部もあり一泊4,550円(税込)〜と破格のプライス設定で宿泊が可能。

自炊部台所。image by:小林繭

こちらの自炊部は、昔ながらの茅葺きの棟もあり、温泉情緒を味わいつくにはもってこいです。自炊部に連泊して、乳頭の山や温泉を歩く旅というのもいつかやってみたい旅のひとつ。

野山を彩る花々を愛でるのも山あいの鄙びた温泉宿ならではの侘び寂び!image by:小林繭

夜、露天に浸かり満点の星を眺めていると、温泉は神様からいただいた大地の恵みであり、この何もないけれどすべてがある時間がいかに満たされたものであるのかを感じます。

最後の最後までやさしい気持ちの案内板が嬉しいですね。image by:小林繭

乳頭の山の奥に、老若男女、国籍問わず、誰がいつ来ても必ずほっこりと笑顔になれる懐の深い温泉宿があることに心から感謝!

そして、こんな極上の湯と心配りのもてなしがある日本っていいところじゃあないか!としみじみ思うのです。来年こそは厳冬を抜けた自分へのご褒美として、ぜひ黒湯温泉を堪能してみてはいかがでしょうか。

  • 黒湯温泉
  • 秋田県仙北市田沢湖生保内2-1
  • 0187-46-2214
  • 営業期間:4月中旬~11月上旬
  • 公式サイト
  • ※2022年11月12日(土)最終宿泊日/11月13日(日)日帰り入浴最終日(9:00~16:00)
  • image by:秋田県
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
  • ※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
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東京生まれ、湘南生息中のフリー編集ライター。インテリア、旅モノ、湘南情報を中心にお仕事しています。All About沖縄ガイド。目下、踊れる編集ライター目指し趣味のフラメンコに取り組む日々。趣味は温泉。

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