湯に、宿に癒される。冬季は幻となる乳頭温泉郷の秘湯「黒湯温泉」
全国的に“秘湯”としてその名を知られるのが秋田県の「乳頭温泉郷」。
十和田・八幡平国立公園、乳頭山麓に点在する七湯・七宿を総称して「乳頭温泉郷」と呼んでいますが、この7つの宿のうち通年営業は5つとなり、残りの2つは雪深い場所に位置するため4月上旬から11月上旬のみの営業となっています。
今回は、冬季休業となる宿のうちのひとつ「黒湯温泉」をご紹介したいと思います。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
ブナの原生林の中に湧く「黒湯温泉」へ
乳頭温泉郷のもっとも奥に位置する「黒湯温泉」への旅は、秘密めいたロケーションに秘湯テンションが高まる道中からスタートします。
栗駒岳の山麗に点在するスキー場や温泉郷を抜けると、そこから先は人工的なものが何もない山の道。一体どこまで続いていくのだろうか?と思わせるブナや白樺の森に囲まれた細い林道をのぼっていくと、突如木々の間に湯けむりが立ちのぼります。
湯けむりを目印にさらに車を走らせると、森の中にポッカリひらけた渓谷が現れ、そこに見える小さな集落こそが目的とする「黒湯温泉」というわけです。
温泉の発見は1674(延宝2)年ごろとされ、古くは秋田藩の湯治場でもあったのだとか。可憐な野花に彩られる谷を降りていくと、茅葺き屋根や木造の建物が川岸まで点々と建ち並ぶ当時の湯治場の雰囲気が今にも伝わってくるような風景に出会います。
敷地内にもうもうと湯けむりをあげる源泉池があるのも特徴で、こんな山奥に大地のエネルギーを間近に感じながら逗留できる場所が隠されていたとは!と、秘湯発見に胸が高鳴るはず。
いま読まれてます