昭和レトロ薫る京都の通な喫茶巡り〜隠れた名店がずらり〜
不思議な建物の秘密と名物ドライカレーの謎に迫る!
アーム(宇治市宇治妙楽)
次にご紹介する喫茶店は、1973(昭和48)年に創業したカフェ・グリルのお店「アーム」。地元の人はもちろん観光客も多く訪れる宇治橋商店街の一角にある喫茶店です。
ノスタルジックな雰囲気が漂うこちらのお店。実は、NHKの人気テレビ番組『ブラタモリ』でも紹介されたことがあるお店。一体なぜなんでしょうか。その秘密はお店の外観を見ればわかるということで、一旦お店から出てみましょう。
ということで、こちらがお店の外観。どこも変わったところはなさそうに見えますが、よく見ると両隣の建物と全く隙間がないことにお気づきでしょうか。
実は、こちらの建物は、かつて江戸時代の上級武士の屋敷に見られる「長屋門」を改装したもの。長屋門とは、両側に居住スペースが設けられた門のことで、店内に残る梁(はり)は当時の名残を今に伝えています。
こちらが創業当時のアームのお写真。今と違ってメルヘンチックな雰囲気が素敵です。かつてこの辺りは近くに大きな工場があったことから歓楽街として発展した歴史があり、アームにも朝昼晩問わず工場に勤務する人が利用していたそう。
「かつては近くに映画館もあって本当ににぎわっていたんです」と語るのは、創業から約50年もの間、このまちを見続けてきたオーナーの安藤一郎さん。御年81歳ながら毎日元気にお店を切り盛りしています。
「昔はこの通りだけでも14~15件の喫茶店があったよ。淀や城陽方面からもバスに乗って多くの人が来ていた」と、当時を振り返ってくれました。
こちらで味わえるコーヒーは、創業からお付き合いがあるというGOLD COFFEEの豆を使用。丁寧にハンドドリップで淹れ、最後にもう一度温めてから提供するこだわりぶり。深いコクとスッキリとした味わいは、昔から何一つ変わらないとのこと。
そして創業当時から変わらないもうひとつの味が、こちらの「鉄板焼ドライカレー」(730円)。香ばしいカレーの匂いに期待を膨らませつつ卵の黄身をつぶすこのひとときがたまりません!
パラパラのお米に具材とカレー粉、卵が絶妙にからみあって、辛さもマイルドに。途中でソースを垂らせば味の変化も楽しめます。触ると熱い鉄板にのせられているから、最後までアツアツのうちに味わえるのもポイントです。
調理風景を少しのぞかせてもらうと、最初はフライパンでお米と具材をじっくりと炒め、仕上げに中華鍋に移してカレー粉が全体にからむように一気に仕上げるというこだわりぶり。熱した鉄板にのせることで香ばしさもさらにアップする、この「3度炒め」が美味しさの秘密なのだそうです。
かつては工場で働く人のお腹を満たしていたドライカレー。最近はネットでその存在を知った若い世代の人や海外から訪れる観光客も喜んで食べているとのこと。宇治観光の際に訪れてみてはいかがでしょうか。
■■INFORMATION■■
アーム
住所:京都府宇治市宇治妙楽169-6
電話:0774-22-3955
営業時間:9:00~18:00
定休日:なし
アクセス:JR宇治駅から徒歩4分、京阪宇治駅から徒歩6分
P:なし