世界に負けてない。日本人も意外と知らない「日本発祥」のスゴいものたち
「クリームシチュー」は学校給食から始まった
次は、「クリームシチュー」です。もちろん、ホワイトルーを牛乳で溶きのばしてつくるホワイトソース(ベシャメルソース)は、フランスなどヨーロッパにもともと存在していました。
煮込み料理のシチュー(フランス語でラグー)そのものもヨーロッパに存在し、ホワイトソースを使った白い煮込み料理についても世界にあります。
しかし、日本人が想像する、タマネギ、ジャガイモ、ニンジン、肉などを具材に、とろみのある状態に煮込むクリームシチューは、日本生まれです。
『和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典』(講談社)には、クリームシチューが和製語と書かれているように、言葉自体も日本で生まれました。
英語でも、クリームシチューを意味する場合、「Japanese cream stew」と表記されます。英語版のWikipediaでも、クリームシチューの解説として「a popular Yoshoku dish(人気のある洋食)」とありました。
ただシチューそのもの、ホワイトソースそのものを日本人が考えたわけではありません。
しかし、牛乳、肉、ニンジン、ジャガイモ、タマネギといった食材の安定供給が明治期の後半以降に確立すると、クリームシチューというメニューを日本人が考案するに至るのですね。
では、その誕生は、いつごろなのでしょうか。
まず、第二次世界大戦後、ホワイトソースを使った白いシチューが学校給食に登場します。
1966(昭和41)年になると、その白いシチューを家庭でも簡単につくれるルウをハウス食品が販売しました。
このときから、
<西欧の料理書にはない「ホワイトシチュー」「クリームシチュー」の語が定着、家庭料理の定番の一つ>(ハウス食品の公式ホームページより引用)
になっていったのだとか。要するに、クリームシチューを一般家庭にまで広めた功労者はハウス食品なのですね。
しかし、発売当初は、店頭試食などで売り出したものの「シチューって何?」「白いみそ汁?」「かす汁?」などというリアクションが一般的だったのだとか。
イギリス人をルーツにもつ「ウィルキンソン」
次は「ウィルキンソン(WILKINSON)」についてです。この炭酸水やトニックウォーター、ジンジャーエール(商品名はジンジャエール)は「どこの国のブランドなんだろう」と思った経験がありませんか?
あのウィルキンソンは、実は日本生まれのブランドです。
『大辞泉』(小学館)によると、アサヒ飲料株式会社が販売するブランドとされています。
もともとは、イギリス人のジョン・クリフォード・ウィルキンソンさんが、兵庫県宝塚で炭酸鉱泉水を発見し、その歴史と由来が商品名に残っているのですね。
ブランド公式ホームページによると1890(明治23)年、ウィルキンソンさんが母国から設備を取り寄せて、鉱泉の瓶詰を生産し始めたと書かれています。
1893(明治26)年には商標を「TANSAN」として発売。炭酸鉱泉の発見時、ロンドンの試験場に送って成分を分析したところ、世界的に見ても極めて優良な鉱泉であると分かったため、商品化に力強く動いたとの背景も記されています。
後に、朝日麦酒株式会社(現・アサヒホールディングス)が販売契約を結び、製造まで手掛けるようになっていったのですね。
ちなみに、2019(平成31)年には、宝塚市内にある別の場所で炭酸水の源泉が発見され、その源泉近くに「ウィルキンソン タンサン」の専用自販機が設置されました。
自動販売機のそばには、このの歴史を紹介する立て看板もあります。関西旅行の際には立ち寄りたいスポットですね。