あぁノスタルジック。九州の玄関口「門司港レトロ地区」の歩き方

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2023/08/02

明治時代から昭和にかけて、九州の海と陸の玄関口だった北九州市・門司港。現在は交通の要所としての重要性は減りましたが、当時をしのばせる美しい建物が保存・整備され、その歴史を今に伝えています。

門司港は明治時代に開かれ、国際交易港として中国大陸・朝鮮半島からシンガポールなどの東南アジアを中心に世界各地と航路を結んでいました。また、九州鉄道のスタート地点でもあります。

官営八幡製鐵所(現在の北九州市八幡区)の鉄や、福岡県筑豊地区の石炭など、門司港を中心とした物流は明治の文明開化から昭和初期に至るまで、日本の経済に大きく貢献したのです。

関門トンネルと関門橋の開通で、門司港は交通の要所から通過点へと姿を変えました。ですが、貿易港として栄えた時代に建てられたレトロモダンな建築物は、「門司港レトロ地区」として保存され、訪れる人々の眼を楽しませています。

旧門司三井倶楽部

image by:photoAC

もともと三井物産の社交場として建てられましたが、戦後は旧国鉄が所有。1990年に国指定重要文化財となりました。1994年に現在地に移築され、門司港レトロ地区のシンボルとして親しまれています。

大正11年にはアルバート・アインシュタイン博士が宿泊。その客室は当時のまま保存され、アインシュタインメモリアルルームとして公開されています。

建築様式は北欧でよく見られるハーフティンバー形式。白い窓枠とダークブラウンの木部、落ち着いた色合いの壁色がシックなコントラストをみせています。

JR門司港駅

image by:Shutterstock.com

JR九州・鹿児島本線の始発駅です。関門トンネルの開通までは、九州の陸の玄関口として多くの人と貨物が行き交う交通の拠点でした。かつては鉄道の車両を載せた関門連絡船が、対岸の山口県下関市との間を結んでいました。

門司港駅の駅舎は大正3年竣工。昭和63年に鉄道の駅としてはじめて国の重要文化財として指定されました。2012年から保存修理工事が行われ、2019年3月にグランドオープン。ネオ・ルネッサンス形式の優美な木造2階建ての駅舎は、門司港レトロ地区を訪れる観光客を迎える玄関口です。


旧門司税関

image by:photoAC

国際貿易港としての門司港を象徴するのが、この旧門司税関です。1912年に建てられたものを、1994年に再建しました。特注された赤レンガが港の海面に映え、門司港レトロの雰囲気を一層盛り上げています。

現在はイベント会場や休憩室として利用されています。3階には展望室、1階には税関広報展示室があります。


旧大阪商船

image by:photoAC

現在の(株)商船三井の前身にあたる、大阪商船門司支店の建物です。1917年に建てられ、1994年に修復しました。

カラフルなオレンジ色のレンガと白亜の石壁、そしてなによりも八角形の尖塔が特徴で、貿易港として栄えた時代の門司港のシンボルでした。その時代この建物のロビーには、門司港から世界へと船出する旅人たちが集っていたのです。

現在1階には「わたせせいぞうと海のギャラリー」、地域作家の作品などを販売する「門司港デザインハウス」があります。

大連友好記念館(旧国際友好記念図書館)

image by:photoAC

旧門司税関の隣にある、赤レンガと複合した尖塔が特徴の瀟洒なモダン建築です。中国・大連市と北九州市の友好都市締結15周年を記念し、1995年に建てられました。

戦前の中国では、大連は門司港と同じように栄えた貿易港でした。この建物は、旧ロシア帝国が1902年に大連市に建てた東清鉄道汽船事務所をそっくり複製したものです。

1階は中国料理レストラン、2階・3階は交流スペースと大連市の紹介コーナーがあります。

文明開化の明治から大正モダン、そして昭和初期へと流れる時代のなかで積み重ねられた門司港の歴史が、レトロな魅力をたたえた建築物として残る「門司港レトロ地区」。年間200万人を超える観光客が訪れる港町に、足を運んでみてはいかがですか。

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東京生まれ、湘南生息中のフリー編集ライター。インテリア、旅モノ、湘南情報を中心にお仕事しています。All About沖縄ガイド。目下、踊れる編集ライター目指し趣味のフラメンコに取り組む日々。趣味は温泉。

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