五感で楽しむ旅へ!エンタメ感満載の嵯峨野トロッコ列車大解剖

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2023/07/31

風を感じながら保津峡の絶景を堪能する

image by:嵯峨野観光鉄道

さて、車掌さんのアナウンスを聞きながら景色を楽しんでいると、目の前に緑色のトラス橋、JR嵯峨野線の第一保津川橋梁が見えてきました。列車は橋の下をくぐり、さらに保津川沿いを進んでいきます。

上を見上げるとこんな感じ。リッチ号は、天井が透明になっているので、見上げると青もみじがキレイ!

image by:嵯峨野観光鉄道

「清滝トンネル」を抜けると、秘境駅としても知られるトロッコ保津峡駅へ到着しました。カリヨンの美しい音色と信楽焼のタヌキたちが出迎えてくれます。

駅から保津川に架かる吊り橋の「鵜飼橋」を渡り、JR保津峡駅までの約1kmの道は気軽なハイキングコースになっているのだとか。さらに進めば柚子で有名な水尾の里へ行くことができるんですって。今度、下車をして散策してみたいなあ。

image by:嵯峨野観光鉄道

さて、最後に現れる500mの長い「朝日トンネル」を抜けると、今までとはまた違う壮大なパノラマが広がります。ここは昔、お殿様が魚釣りを楽しまれたということから「殿の漁場」と呼ばれるエリア。写真はちょうど紅葉の頃のものですが、素晴らしい絶景が広がります。

image by:嵯峨野観光鉄道

保津川の流れがゆったりになってくると最後の絶景スポット「桜のトンネル」です。桜の季節はえも言えぬ美しさ。

終点のトロッコ亀岡駅に到着しても、風の気持ちよさとトロッコの音や振動、目の前に広がる絶景の素晴らしさの余韻に浸って降りたくない~。もう一度、乗りたい!!となったので、帰りの切符を取っておいてよかった~!

始まりは明治時代に造られた私鉄「京都鉄道」だった?!

京都鉄道の旧二条駅舎。当時は京都鉄道の本社屋も兼ねていました。現在は京都鉄道博物館の資料館とミュージアムショップが併設されています。

ところで先ほど、嵯峨野観光鉄道の前身である旧山陰線、京都鉄道のことについて触れましたが、ここで改めて嵯峨野トロッコ列車の歴史を紐解くことにいたしましょう。

京都鉄道会社が作られたのは1893(明治26)年。亀岡市の実業家・田中源太郎氏らが発起人となり、京都駅⇔舞鶴駅間に鉄道を通すべく私鉄として発足しました。

田中源太郎氏といえば亀岡市の洋館・楽々荘(現:がんこ京都 亀岡 楽々荘)を建てた人物であり、当時の京都政財界の立役者だった方でもあります。


明治時代の鉄道について紹介した、こちらの記事もどうぞ!

廃線跡を行く―明治時代に9年間だけ走ったレトロな大仏鉄道を巡る旅

改良を重ね現代に息づく―明治時代に造られた「関西本線木津川橋梁」

1987年旧山陰本線を走る列車 image by:嵯峨野観光鉄道

工事がスタートし、線路が敷かれていきましたが、特に現在、トロッコ列車が走っている嵯峨野⇔亀岡間は、保津峡の景観を損ねることがないよう川沿いの断崖に築かれたため、超が付くほどの難工事だったのだとか。

苦労の末、1900(明治33)年に京都⇔園部間が開通しますが、1907(明治407)年に国鉄に、その後、JR西日本となります。しかし1989(平成元)年、山陰線の複線・電化のために新たに線路が作られ、現嵯峨嵐山駅⇔馬堀駅間は廃線となってしまうのです。

開業当初のトロッコ列車 ジオラマ京都JAPANに展示されているパネルより

ところが、この路線は通勤通学だけでなく、保津川の景色が眺められる路線としても人々から愛されていました。そのため全国から廃線を惜しむ声が続々と寄せられ、1990年、観光目的とする鉄道会社として作られたのが「嵯峨野観光鉄道株式会社」なのです。

image by:嵯峨野観光鉄道

ですが廃線後、しばらく放置されていたレールは錆び、枕木は腐り、路肩には草が生い茂るありさま。しかも、このような路線に本当に乗客は来るのだろうか、「とりあえず3年もてばいいだろう」とまで言われていました。

その言葉を受けて、社長を含めた全社員9名で沿線を整備。ちなみに亀岡駅手前の桜並木は、この時に植樹されたものなのだそうです。

コツコツと整備を重ねた苦労が実り、開業2日前の新聞には、「1年先までの予約客を入れると『既に四、五万人』(JR京都駅)という過熱ぶり」と書かれるほどの人気となり、その後、評判が評判を呼び、今のような人気観光列車となったのです。

トロッコ列車を降りても見どころたっぷり!

さて、トロッコ嵯峨駅に戻ってきまして、列車を降りたら駅の隣にある「19世紀ホール」へ行ってみましょう。

ホールに入ってびっくり!!正面には大きな蒸気機関車が3台、その前にはベートーベンやモーツァルト、ショパンにドボルザークといった19世紀の巨匠が好んで使用した「ベーゼンドルファー」のグランドピアノが展示されています(ピアノにはハプスブルク家の紋章が記されていました!)。

こんなところでSLやベーゼンドルファーに出合えるとはビックリです。

image by:嵯峨野観光鉄道

「19世紀ホール」は、このような19世紀、明治時代の日本に伝わった蒸気機関車や音楽芸術発展の一翼を担ったピアノや大型オルガンも併せて展示するホールで、しかも無料だというから驚きです。

ちなみにSLは「C56」「D51」「C58」、それから旧日本国有鉄道鷹取工場技術者養成所の生徒によって昭和14年9月に改造された蒸気機関車「若鷹号」が展示されています。

写真奥は楽器の「女王」と呼ばれるとして大型オルガンに最新の電子技術を融合させたアーレンオルガン「Quantum(クオンタム)」。手前は「ハープシコード」。こちらは有料での貸し出しもされていて、発表会などで利用する方もいるそうですよ。

ホール内にはカフェ「SL ROMAN CAFE」もあり、お腹がすいたので、こちらでランチを食べることにしました。こちらはSLをイメージした「ブラックハンバーガー/820円」(写真左)。バンズには木炭が練り込まれています。

それから1つずつ焼いた卵焼が入った「ミックスサンド/880円」(写真右)。「コーヒー/500円」はサイフォンで抽出した本格派です。しかもSLを眺めながらランチができるなんて最高~。

食後のデザートは、駅の正門横にある抹茶スイーツのスタンド「Maison matcha café」へ。選んだのは抹茶ソフト、あずき、白玉が乗った「抹茶あずきアイス/640円」と濃厚な「抹茶ソフトクリームラテ/650円」。

食後は駅舎に戻り、鉄道模型テーマパーク「ジオラマ京都JAPAN」へ。ここはかなり面白かったので、改めてご報告します。お楽しみに!!

以前「ジオラマ京都JAPAN」を紹介した記事はこちら!

大注目の鉄道ミュージアム「ジオラマ京都JAPAN」を見に行こう!

もちろん駅の売店ではオリジナルグッズを買うこともできます。

写真は、トロッコ列車で使っているものと同じ「区名札(未使用)/2,000円」、「キーホルダー/450円」、子供用しかないのが残念な「トロッコTシャツ/950円」。大人用があったら、絶対買います!「パズルマップ/1,400円」。

嵯峨野トロッコ列車の旅、いかがでしたでしょうか。列車に乗って景色を堪能し、その後はSLを観たり、ジオラマを楽しんだり、ランチやスイーツを堪能し、お買い物までできちゃう。まさに1日遊べるエンターテイメントな空間でした。みなさまもぜひ、今度のお休みに遊びに行ってみてくださいね!

【INFORMATION】

  • 嵯峨野トロッコ列車(嵯峨野観光鉄道)
  • 京都府京都市右京区嵯峨天竜寺車道町
  • 075-861-7444
  • 片道大人880円/小人440円(6才以上12才未満)
  • 公式ホームページ
  • SL ROMAN CAFÉ
  • 定休日:嵯峨野観光鉄道トロッコ列車運行予定日に準ずる 
  • 11:00~15:00
  • Maison matcha café
  • 定休日:嵯峨野観光鉄道トロッコ列車運行予定日に準ずる
  • 11:00~15:00
  • Instagram

  • source:KYOTOSIDE
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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