自由の女神はニューヨークにない!?世界の観光スポットに関する「誤解」5選
世界の有名観光地、それぞれにいろいろなイメージがあるかと思います。そのイメージの中には、正しい内容もあれば、正しくない内容もあるはず。そこで今回は、世界の有名観光地に関する大きな誤解をいくつかご紹介します。
自由の女神はニュージャージー州の海にある
最初は、アメリカの「自由の女神」について。
ニューヨークのシンボルといえば、エンパイア・ステート・ビルだとか、ワン・ワールド・トレードセンターだとか、セントラルパークだとか、いろいろ思い浮かぶと思います。
もちろん「自由の女神(正式にはLiberty Enlightening the World、世界を照らす自由)」を想像する人も少なくないはず。
しかし、ニューヨークのシンボル=「自由の女神」というイメージには、ちょっと補足が必要です。
「自由の女神」があるリバティ島は、土地そのものがニューヨーク州に帰属するものの、ニュージャージ州の海の中に存在します。いわば、飛び地のようになっているのですね。
時は、1834年。まだ「自由の女神」がフランスから贈られる前、ニューヨーク州とニュージャージー州の間で、ニューヨーク港内のリバティ島(旧・べドロー島)の帰属について争いがあり、ニューヨーク州が土地を、ニュージャージー州が島を囲む水域を帰属させると協定を結びました。
その後「自由の女神」をアメリカに贈ろうとした発起人のフランス人上院議員エドアルド・ド・ラブライエが、アメリカの大統領に対し、リバティ島(旧・べドロー島)を建設候補地としてリクエストします。
1877(明治10)年、リバティ島(旧・べドロー島)を正式に建設地にすると大統領がサイン、その後に建設が進み、現在に至るといった歴史の流れです。
「自由の女神」のあるリバティ島を地図で確認すると確かに、ニュージャージー州にあります。さらに言えば、ニューヨーク州のマンハッタン島よりも、ニュージャージー州のリバティステートパークの方が、陸地からの距離は近いです。
ただ、マンハッタン島南端のバッテリー公園から出るフェリーの本数と、リバティステートパークから出るフェリーの本数は、前者の方が多いです。
その意味で言うと、ニューヨークの名所と言って間違いがないのですが、あの島が浮かぶ水域はすでにニュージャージー州なのですね。
世界で最もピラミッドが多い国はエジプトではない
ピラミッドといえばエジプト、エジプトといえばピラミッドというイメージがあるかと思います。
しかも、エジプトのギザにあるクフ王のピラミッドの巨大さは世界一。雑誌やウェブ、テレビなどでも、ピラミッドのイメージが繰り返し伝えられているので、世界のピラミッドはエジプトに集中しているような印象を抱いてしまいます。
しかし、エジプトよりもピラミッドがたくさん存在する国があります。それが「スーダン」です。
スーダンとは、エジプトと国境を共にする国で、エジプトの南、紅海に面した国といえば、大まかな場所が理解できるでしょうか。日本の約5倍の国土に、4,200万人くらいが暮らします。
そのスーダンには、250程度のピラミッドが存在するとされています。エジプトにあるピラミッドの数はその半分ほど。
主だったピラミッドとしては、スーダン北部、ナイル川がS字に湾曲するあたりに、高さ20mほどのピラミッドが、古代遺跡群として砂漠の中に林立しています。このメロエ島の考古遺跡群は2011(平成23)年、世界文化遺産にも登録されました。
内戦、南部スーダンの独立戦争など、国家が安定せず、なかなか観光業が発展していかない同国ですが、ピラミッドといえばスーダンも忘れてはいけないのですね。
ウルル(エアーズロック)より大きい岩がオーストラリアにある
オーストラリアといえば「ウルル(エアーズロック)」を思い浮かべる人も多いはず。ウルルの特徴といえば、その巨大さです。
周囲9.4km。東京駅から上野駅まで(直線で3.8kmほど)歩いて戻ってくる距離よりも長いです。皇居の外周も5kmほど。その巨大さがよく分かりますよね。
しかも、そのサイズで一枚岩だと言いますからさらに驚きです。しかし実は、オーストラリア国内に同じ一枚岩でも、もっと大きな岩が存在します。
オーストラリア西部、インド洋に面したカーナボンのまちから東へ約450km内陸へ向かった先にある、「バリングラ(マウントオーガスタス)」と言われる岩山ですね。パースから見たら北東へ1,000kmほど離れた場所にあります。車で2日の距離みたいです。
手元の地図では標高1,105mとありますが、『大辞泉』(小学館)には858mと書かれています。現地の情報では750mとの情報も。その数字はまちまちながら、この16億年ほど前にできた岩山が、世界最大の一枚岩である点は間違いない様子。
<同国中央部にあるウルルのおよそ2倍近く大きい>(小学館『大辞泉』より引用)
オーストラリア西部というと、なかなか個人旅行で訪れるチャンスは少ないと思います。しかし、ウルルよりももっと巨大な岩が存在するとなれば、旅心がくすぐられるのではないでしょうか。ぜひ、チェックしてみてください。