「売らない・貸さない・壊さない」住民が団結した江戸の原風景を残す宿場町
「売らない・貸さない・壊さない」で街並み保存
そんな美しい日本の原風景を持つ妻籠宿は、昭和51年に国の重要伝統的建築群保存地区の指定を受けているのですが、実は、今では日本全国に広がる古い街並み保存運動の先駆けとなったのが、この妻籠宿の住民たちによる集落保存事業だと言われています。
江戸時代には大いに栄えた妻籠宿も明治以後の交通改革により宿場町としての機能を失い、昭和の高度成長時代とともに過疎化。
衰退の一途を辿る妻籠をどうにかしようと立ち上がったのが、地元住民たちでした。妻籠の価値は、美しい自然に溶け込むようにある歴史風土と集落の景観そのもの以外にありえないという意思統一のもと、景観保存のために一致団結。
家や土地はもちろん山や畑も「売らない・貸さない・壊さない」という信条に基づき、山深い木曽路の集落景観を保存することに力を尽くし、今の妻籠の姿に至ります。
ちなみに妻籠宿の保存事業は、実際に人々がそこで生活を営みながらのもの。妻籠で暮らす人々の生活にはスーパーもコンビニもありません。江戸時代から続く町並みを守りながら、その貴重な財産を後世に伝える役割を担ってくれているのです。
インスタグラムやfacebookなどSNSに木曽路の宿場町の写真をアップすると、「そこはどこ? 次に日本に行ったら絶対に行きたい!」と外国人の友人から次々と反応がかえってきます。
それもそのはず、日本人である私だって「ここはどこ? もしかして江戸時代?」と、完璧に「まさか自分が江戸時代にタイムスリップ!?」してしまったのかと疑いたくなるのですから。
雪景色に和の情緒がつのるこの季節、日本の原風景を訪ねに、木曽路の旅へ出かけてみませんか?