森に真っ白な建物を作ったわけ。那須塩原の自然は「公園の父」から始まった
アーティストが森をひらくこと
戸田さんが「森をひらくこと、T.O.D.A.」を始めるきっかけとなったのが、2010年に那須を舞台に開催されたアートフェスティバル「スペクタクル・イン・ザ・ファーム」です。
これまで様々なボランティアに参加してきた戸田さんは、今回のアートフェスティバルにも協力していました。
「参加アーティストの一人、豊嶋秀樹さんやその他メンバーと毎週末にキャンプをして、いろんな話をしました。和気あいあいとした雰囲気の中で、この森を残したいという話になったんです」。
スペクタクル・イン・ザ・ファーム終了の翌月から、那須塩原の森を残すための新たなプロジェクトが始まりました。
「森と人との共存」や「森を再生させる」という考えから、森と人をつなぐカフェスペース「KITCHEN PLACE」、そして森に人が集まり、森について考える場として「OPEN PLACE」を作りました。その場所は豊嶋さんによって「森をひらくこと、T.O.D.A.」と命名され、2012年9月にオープンを迎えました。
「OPEN PLACE」は現在は、学びの場としても、幅広く利用されているとのこと。私たちが中に入ると、まず窓のない空間に広がる音の響きに驚きました。あまりにもよく響きすぎるので、音楽イベントではカーテンを壁際にひいて反響を抑えているのだそうです。
また、戸田さんの知り合いが手作りしてくれた十二面体のスピーカーは、あらゆる方向から響く音が壁に反響することで、いままで体験したことのない音の広がりが感じられるんだとか。
「オープンプレイスは、ホワイエ(フランス語でたまり場、団らんの場の意味)的な位置づけです。この場所で結婚式を挙げた人もいて、その時にはお庭にもテーブルと椅子を広げました。
いずれは『KITCHEN PLACE』でお腹を満たし、『OPEN PLACE』で団らんし、いつか滞在スペースとしての『NEST PLACE』を作り、アーティスト・イン・レジデンスを作りたいと思っています」。
森を育てることについて語る戸田さんに「今のこの状態でも、十分素敵ですよ」と話すと、「まだまだ!これから!」と返されてしまいました。
「手を加えないと森はダメになっていきます。昔からずっと、森は、人間や動物たちとの関わりの中で保たれてきたし、それがいわゆる共存。使われない森はどんどん荒れる。森と一体にならないと、森を守ることはできないんです」。
戸田さんの印象的な言葉には、那須塩原の森に対する愛情と、決意が込められていました。
「森をひらくこと、T.O.D.A.」を訪れて、ただのカフェにも、イベントスペースにも納まらない器の大きさを感じました。それはこの場所が、歴史的な背景から人が生み出した森を舞台に、自然と人の共存を経て成長していく中にあるからかもしれません。
食べて森を知る「KITCHEN PLACE」、考えて森を知る「OPEN PLACE」、そして暮らして森を知る「NEST PLACE」というこれからはじまる新しい場所を通して、この場所は森と人とのつながりをさらに広げていきます。
「森をひらくこと、T.O.D.A.」ではマスキングテープのイベント「mtSchool」を開催します。
開催期間:8/20 ー 9/2 (※休業日8/25(火)、9/1(火))
営業時間:11:00 ー 17:00
mt会場:森をひらくこと、T.O.D.A. オープンプレイス
<詳細はこちら>
住所:栃木県那須塩原市戸田12-1
電話番号:0287-68-1031
営業時間:KITCHEN PLACE 11:00~16:00
定休日:毎週火曜日(不定休あり)
- image by:豊田 彩乃
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。