京都・西本願寺の伝統修復技能「埋め木」が遊びゴコロいっぱい
京都の人たちから「お西さん」と親しまれている西本願寺(京都市下京区。正式名称は『龍谷山 本願寺』)。 京都駅から徒歩約10分ぐらいのところにあります。この駅チカ仏教寺院は、堀川通り沿いに総門をどっしりと構え、赤、白、緑の幕がはためく様は圧巻で、多くの人が参拝に訪れます。今回はこのお寺に見られる「埋め木」について紹介したいと思います。
「埋め木」って何ぞや?
その前に、西本願寺について簡単にふれておきましょう。 「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されている西本願寺は、桃山文化の象徴といわれる建造物や庭園があります。
13世紀に浄土真宗の宗祖である親鸞上人の廟堂として創建され、移転を繰り返し、現在の堀川通りに移ったのは豊臣秀吉の寄進により1591年のこと。 お寺には「唐門」をはじめ、「御影堂」や「阿弥陀堂」「飛雲閣」など、11もの国宝が存在することでも有名。 なかでも、御影堂と阿弥陀堂は一般の人にも無料で開放され、いつ訪れても参拝客の多いこと。
今年1月、久しぶりに訪れましたが、改めて境内の広さをヒシヒシと感じました。総門と御影堂と阿弥陀堂の間に立つ銀杏の大木は冬枯れしていましたが、秋になると黄金色に染まり、美と情緒を兼ね備えた姿は目とココロを楽しませてくれます。
境内の建造物で一番大きい御影堂は親鸞上人の木像が安置され、内陣は270畳、外陣はなんと441畳もあり、「一度に1000人以上の参拝客を収容できる広さです」と、お坊さん。
隣接する阿弥陀堂は中央に阿弥陀如来の木像が安置され、その像を挟むようにインド、中国、日本の念仏の祖師七師、そして聖徳太子の像も。個人的にこのお堂のひっそりとしたほの暗さが好きで、灯りに癒されます。
また、御影堂と阿弥陀堂には重厚な縁側や廊下があり、木の迫力ある意匠が感じられるはず。
本題の「埋め木」はこの縁側や廊下で見ることができます。 埋め木とは、長い年月を経ることですき間や割れ目などが発生する木造建築に用いる修復方法。経年変化で生じてしまった木のすき間や割れ目に木片をあてて、埋めていくのです。
洋服であれば、破れたりすり切れた部分に布地を当てて直していくアノ感じですね。 西本願寺の廊下にはいあちこちに遊び心いっぱいのデザインの埋め木が見られます。さあ、探してみましょう。
まず、お山を発見!
仏教寺院にはちょっと異色なハート。 フォトジェニックだから?このハートの埋め木は大人気。 写真撮影する人が一番多かったです。
そして、駒(右)とお花(左)のペア。
西本願寺の知る人ぞ知る「埋め木」。 いろいろなデザインを探す楽しみがあります。 なお、西本願寺では、お坊さんにご案内していただける無料ツアーも実施しています。御影堂、阿弥陀堂、そして「埋め木」についても紹介していただけるので、参加してみては?
- image by:御田けいこ
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