まるで中国?久々の「香港旅行」で日本人が気をつけるべきこと
新型コロナ禍の“鎖国”から、旅行客の受入を再開した香港。現在すでに、日本からの旅行はコロナ前と変わらず、90日以内の滞在はビザが不要となりました。
しかし誰もが気になるのが、香港における「中国」の影響力でしょう。
コロナの数年前、香港での民主化デモが大々的に報道されましたが、今の香港はいったいどういう状況なのでしょうか。
2023年8月に香港を訪れた筆者が、主な観光地や街中の様子、コロナ前の香港旅行と異なる気を付けたい点などを紹介します。
香港はすでにビザ不要。出入国はコロナ前と変わらない
日本から香港への旅行は、90日以内の滞在で観光目的であれば、査証(ビザ)免除措置が適用されます。
適用に必要な作業は、香港到着時に入国審査で記入済みの到着カードをパスポートと一緒に提出するだけです。到着カードは香港行きの機内で配られるか、もしくは入国審査の前にも置いてあります。
香港をよく訪れる人向けの出入国自動化ゲート「e-道(e-channel)」も、すでに利用できます。筆者はコロナ禍にパスポートを更新して番号が変わったため、入国後に事務所を訪れて再申請しました。
到着口を出ると、コロナ前とその光景はほぼ変わりません。ただ、飛行機の便数がまだ以前に及ばないため、人が以前より少ないと感じるかも。現在の香港国際空港はメインの第1ターミナルのみで、第2ターミナルはリニューアル工事中で使われていません。
香港中心部までの交通アクセス、休止中のサービスに注意
香港国際空港から香港中心部へ行くには「香港エアポートエクスプレス」から電車に乗るか、「空港バス」、「タクシー」を利用するとスムーズです。
ですが、現在香港エアポートエクスプレスから出発する無料シャトルバスは、コロナの影響で引き続き運休中。九龍駅と香港駅から主要ホテルを繋ぐ便利な移動手段だけに残念です。
また、香港駅のインタウンチェックインが再開したものの、キャセイパシフィック航空のみなので注意。他の駅(九龍駅、青衣駅)では、まだ再開されていません。
空港バスや路線バスでは、ほとんどの車両でVISAのクレジットカードなどのタッチ決済が利用できるようになりました。香港名物のトラムも利用可。
一方、香港の地下鉄(MTR)はタッチ決済が未対応で、中国本土向けQRコード決済のみですが、近日中にタッチ決済に対応とのこと。
香港の交通系ICカード「八達通(オクトパス)」は、現在も使えます。MTRやミニバスを利用するときに重宝します。
八達通の使用期限は3年で、期限切れだと駅などの有人窓口でアクティベートしてもらう必要があります。筆者もコロナ中に期限切れし、窓口で手数料を支払って再開手続きしてもらいました。
中国本土からの旅行客が多く、まるで「中国」の雰囲気
コロナ後に香港を観光で訪れる旅行者、その多くが中国人です。一方、以前はいた欧米系の人々はほぼおらず、韓国や東南アジアの旅行者も少なめ、日本人にいたってはほぼ皆無と言ってよいかもしれません。
中国本土から香港を訪れるには、鉄道やバスなど陸路を使うことも可能で、深セン市からであれば日帰りもできます。そのため、週末は特に中国本土からの旅行客が多く、香港で有名な「スターフェリー(天星小輪)」では、ターミナルの外まで乗客が並ぶほどごった返していました。
夜20時のビクトリアハーバー、シンフォニー・オブ・ライツも、プロムナードを中国人がほとんど占拠していると言っても過言ではないほど賑やか。
『ここは中国か』と、コロナ前に行った上海の外灘を思い出しました。
しかし、中国人旅行客は以前のように爆買いしているわけでなく、無料の夜景ショーや花火を楽しんだり、運賃が安い天星小輪やトラムに乗ったり、お金をガンガン使っている気配ほぼなし。
そのためか、香港中心部の高級ブランド店が並ぶエリアはところどころ閉店し、居抜き物件が目に付きました。
ホテル価格が値上がり、日本人には以前よりも割高に
中国本土からの観光客が増えたことで、もともと高騰していたホテルも値上がりしています。例えば、交通アクセスが良い場所の3つ星ホテルであれば、1泊1室2万円超はザラで、どのホテルも高止まり状態です。
特に、宿泊数日前までキャンセル無料のプランが高く、安いプランだと予約即時決済のキャンセル不可が大半。予約後に体調不良などでキャンセルすると支払代金が一切返金されないプランはリスクが大きく、しかしキャンセル無料のプランは高いので、とても悩ましいところです。
物価高に円安、買い物や食事も出費がいっそう厳しく
香港の街中で買い物をし、食事をするのであれば、以前の香港とほぼ変わりません。特に、観光客が少ないローカルなエリアに行けば行くほど、中国化してきたと感じることは少ないでしょう。
コロナ後に最も痛感させられるのは物価の高さです。2023年8月現在、1香港ドル=20円近くします。円高だった2010年ごろは1香港ドル=10円ほど、コロナ前は14円ほどでした。
物価が上がり円安も相まって、なにもかも割高。香港のスターバックスでは、カフェアメリカーノのトールサイズが約680円※です(※日本は445円)。
航空券も、燃油サーチャージがあまり下がらず、全体的に高止まり状態。ホテルも現地の物価も高い一方、安いのは交通費ぐらいという現状を知っておいてください。
街中に増えた中国国旗、しかし香港人のサービスは変わらず
コロナ後の香港旅行で、中国本土からの旅行客が多いことで、違う意味での中国化を感じました。一方、街に掲げられている香港国旗とともに「五星紅旗(中国国旗)」がなんとなく増えたり大きくなったり見えました。
しかし、ホテルやレストラン・カフェ、ショップなどで接客してくれる香港の人々は、以前と変わらず、ホスピタリティのレベルは高く、たいていの場所で英語も通じます。広東語のみであっても、香港の人々はとてもやさしいです。
現地の治安がコロナ後に悪化したという印象も、特にありません。中国本土と比べるとまだまだ良い意味で違う、イギリス植民地時代の名残と洗練された雰囲気は健在。物価が上がったこと以外はコロナ前とほぼ変わらない香港観光が楽しめるでしょう。
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- ※掲載内容は2023年8月時点の情報です。内容は変更になる可能性があります。