宮城県・登米市の名を全国に轟かせた、 郷土食「はっと」のPR動画
東京都の小池百合子都知事が、東京オリンピックのボート競技の開催候補地として視察した長沼ボート場のある、宮城県・登米市(とめし)。
実はこの登米市の作成した地元PRの動画が「面白い」と話題になっているのをご存知でしょうか?地元のご当地グルメ「はっと」を守るべく、おばあちゃんが武装集団と戦う本格アクションとなっているそうです。
「はっと」を守るおばあちゃんの本格アクション
わが町を全国にアピールしたいと、各地の自治体がPRビデオを作るのが盛んになっています。
地元のソウルフード「はっと」を謎の集団から守るために、おばあちゃんが大活躍する動画を作ったのは、宮城県登米市。ご存知、オリンピックのボート競技場候補として、小池知事が視察までした長沼ボート場がある所です。
私事で恐縮ですが、宮城育ちの私としては、この動画を紹介しないわけにはいきません。しかも、主役はおばあちゃん。まさに「地域創生とシニア」です。
動画のタイトルは「Go! Hatto 登米無双(ゴハット トメムソウ)」。こんなストーリーです。
現代の登米市でも市民に愛される郷土食「はっと」。
皆でおいしく食べているところに、突然、「ご法度」の札を示す謎の黒服集団が登場します。
戸惑い、悲しむ市民。そのとき、ひとりのおばあちゃん「トメさん」が立ち上がります。
このトメさん、実は「登米無双」という必殺技を隠し持っている女性。
長年、小麦を練って鍛えた指技も生かし、小気味よいほどに黒服軍団をなぎ倒すのですが、彼女が繰り広げるアクションが、これまたスゴイのです。
ついには「はっと」を独り占めする親玉も退治します。
こうして、「はっと」は無事に市民の手に(口に?)戻ったのでした。
主役の「トメさん」役を演じた女性は61歳。なんと、50~70代で結成された殺陣ユニットOBC(おばチャンバラーズ)のメンバーとして活躍する女優さんだとか。もちろん、市長をはじめ、多くの市民が出演しています。悪玉役を演じたのも市民です。
そして、国指定重要文化財の旧登米高等尋常小学校、伝統芸能伝承館、長沼の公園、はっと専門店などという名所旧跡を盛り込むことも忘れてはいません。
このPR動画がこちら。
謎の集団が狙う「はっと」とは、何?
では、「はっと」とは何でしょうか。「はっと」は昔から登米市あたりで食べられていた郷土食。作り方は簡単です。小麦粉を水で練り熟成させて、指で薄くのばしたものを、ありあわせの野菜や食材と共に醤油汁に入れて煮ます。つまり、スイトンのようなもの。
醬油味のものしか食べたことがありませんが、地元では「あずき」や「ずんだ」、エゴマ(登米ではジュウネンというらしい)などに絡めたりして食べることもあるそうです。物産展などで見かけたことのある人もいるのではないでしょうか。
では、なぜ「はっと」というかというと、そこには米どころ宮城らしい歴史がありました。宮城は江戸時代から美味しいお米の産地。高く売れるため、伊達藩は年貢以外の米もすべて江戸に送っていたのです。だから、自分で作ったにもかかわらず、百姓たちは米を食べることができなかったとか。
そこで、小麦を茹でて工夫を凝らし、おいしい郷土食として食べていました。しかし、「はっと」ばかりを好んで「米作りが疎かになるはないか」と心配した領主が、食べることを禁止。つまり「ご法度」にしたことから、「はっと」と呼ばれるようになったと言われています。
この由来が動画ストーリーのヒントになったのです。