そうだ、ラピュタに行こう。東京湾では唯一の自然島「猿島」を探索
島の名物「愛のトンネル」
切通しを進むと、レンガ造りのトンネルが現れます。このトンネルが、猿島名物の1つで、レンガ造りのトンネルとしては、日本で最も古い建造物のひとつとされています。
フランス積と呼ばれる(正式には、その発祥地にちなんでフランドル積と呼ぶ)、レンガの小口と長手を交互に見せるように積まれたエキゾチックで珍しい積み方で作られているこのトンネルは、“愛のトンネル”とも呼ばれているそうです。その所以はわかりませんが、長い年月朽ちる事なく変わらぬ姿を見せていることからかもしれませんね。ちなみに、フランス積の建築物として現存するものは、関東では、群馬県で世界遺産に登録された富岡製糸場と、この猿島のみに存在するそうです。
レンガ造りのトンネルを抜けた先には、猿島の見せ場とも言える風景が広がります。SNSなどでは、スタジオジブリの天空の城ラピュタの世界感に似ているなどと噂されている場所が、ここです。
レンガ造りのトンネルと、切り立った外壁を覆う苔・・・、確かに、悠久の時を経て姿を現した天空都市ラピュタの一角といった雰囲気を感じます。
さらにトンネルを抜けて高台に上がると、昭和16年頃に作られた円形台座の砲台跡を見ることができます。この砲台跡では、スマートフォンのアプリを使う事により、AR(Augmented Reality:拡張現実)を用いて、砲台跡に砲台が設置されている様子を見る事ができます。
ARアプリの説明を含む横須賀市のサイト
この砲台跡から岸壁に沿って海岸沿いに降りると、日蓮上人が修行したと言われる古代住居跡(日蓮洞窟)を見ることができます。戦後の発掘調査により、弥生時代の貝塚の他、江戸時代の貝塚などが発見されたそうです。満潮時には、海面が洞窟入口にかなり近付きそうですが、確かに人が住めそうな雰囲気は感じられます。
砲台跡に戻り、島の東側に歩を進めると、房総半島を一望できるビュースポット“オイモノ鼻広場”に出ることができます。天気の良い日は、北側にスカイツリーを見る事もできます。この日もうっすらとスカイツリーが見えましたが、アクアラインの方が良く見えました。
“オイモノ鼻広場”から、階段を上る通路を進むと、島の中央に位置する展望台のある広場(現在、展望台は、老朽化により立ち入り禁止となっています)に到達します。この展望台は、初代仮面ライダーにおいて、ショッカーの基地として、撮影に使われた事で有名です。
仮面ライダー好きには、“聖地”の1つと言っても良いのではないでしょうか?この展望台のある広場からは、島の西側を望む事ができ、天気の良い日には、富士山の姿をはっきりと観る事ができます。各広場には、休憩用のテーブルやベンチが設けられているため、お弁当などを持参して、ピクニック気分を味わう事も良いかもしれません。
この展望台広場からは、島の南端側にある広場に行く事ができます。この広場は、おそらく、昔は屋根のある休憩施設があったのだと思われますが、現在はコンクリート造りの柱とベンチ、テーブルのみが残されており、ストーンヘンジのような雰囲気が漂っています。眺望も良く、夕日が沈む時間帯であったなら、綺麗なトワイライトを見る事ができるのではないでしょうか。
なお、猿島には、次のような禁止事項が定められていますので、入島する際には気をつけるようにしましょう。
(1)参加者を募って写真・映像等の撮影(撮影会)をすること。
(2)多数の人員で公園の一部を占有し、被写体(人物等)を撮影すること。
(3)テントを設置すること(ペグ等で地面に固定せず、かつ他の公園利用者の迷惑とならない場合は除く)。
(4)他の公園利用者の迷惑となる音量を流すこと。
(5)大音量を流すための音響機器(DJブース等)を設置・使用すること。
(6)海水浴場の開設期間以外に、水浴または遊泳すること。
(7)燃料(炭・ガス等)を使用するコンロ類または燃料(炭・ガス)の持ち込みをすること。
また、猿島には、宿泊する事もできません。介助犬以外のペット同伴での入島も禁止されていますので、その点も合わせてお気をつけください。
以上が、島の主要施設の全容となります。島自体の周囲が、約1.6km程とのことですから、散策経路はさらに短く、ゆっくり回ったとしても1時間程度で回りきることができます。歴史を学ぶ気軽な無人島散策としては、もってこいの場所ですよね。
関東在住の方でも、東京湾にこんな島があること自体知らなかった方、島の存在は知っていたが、近すぎて行く機会が無かった方、行ってみたいけど、なかなか行く機会を作れない方、色々いらっしゃると思います。日帰りで、無人島探検に行って来た!そんな話題作りにも役立つ猿島、一度足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?
- image by:梅原慎治
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