廃れゆく商店街でもなかなか潰れない「花屋」に学ぶ生き残り戦略
中小企業は何を見習うべきか?
花屋に限らず、生活者が何かを買う時には、その製品やサービスが欲しいのではなく、自分のニーズやウォンツを充足させてくれるものを買う。その時に、様々な選択肢の中から、何か一つを選ぶことになる。これを「競争」と呼ぶ。
競争は、このように顧客価値のレベルで発生するので、自社の顧客価値が何で、他者とどう違うのか、をしっかりと見極め、想定顧客にコミュニケーションしていく、というステップになる。
花屋で言えば、「花がある自分の生活」が顧客価値であり、花そのものではない。
これを、飲食店に当てはめると、メニューにあるうどんやカレーそのものではなく、
「家族で食べる幸福感」
「美味しいのにお値打ちな満足感」
「友達とゆっくり食べられる充足感」
が、顧客価値だし、ビジネスホテルで言えば、
「仕事の成功をサポートしてくれる設備の充実」
「どこに行くのにも便利」
という、価格の安さや部屋の広さというスペックよりも、ホテルに泊まる自分の姿や利便性で勝負ができると、値引き合戦に巻き込まれることを避けることができる。
もう1点は、リピートをしてもらう仕組みを作ることだろう。花は季節ごとに様々な種類がある。また季節ごとのイベントにふさわしい花もある。端午の季節に花を買った人は、また夏には夏の花が欲しくなるのだ。
個人店においては、この様な顧客それぞれの志向を把握し、「そろそろ夏も終わりなので、スプレー菊で秋の香りを楽しんではどうですか?」などと、顧客に声をかけるなどできると、顧客側も購買意欲をます、というものだ。
モノ消費からコト消費、コトは、顧客価値を表す言葉なのだ。したがって、顧客価値を知るためには、顧客の心の中を知ることが必須になる。
image by: Shutterstock
※本記事はMAG2 NEWSに掲載された記事です(2017年7月24日)