廃れゆく商店街でもなかなか潰れない「花屋」に学ぶ生き残り戦略

すぐ近くにある2つの花屋はなぜそれぞれ流行っているのか?

実際に花屋に足を運んでみると、流行っている花屋さんではこの顧客価値を満たす品揃えになっていたり、顧客コミュニケーションになっている。

例えば、駅ビルの1階にある、おしゃれで少し高めに価格設定をしている花屋では、アラサー、アラフォーの可処分所得が高めのキャリアを持つ女性をターゲットにしているのであろうか、その店オリジナルの、華やかなブーゲンビリアの寄せ植えを店頭の一番目立つ場所に飾り、「あなたの部屋を飾るには柔らかな色合いのブーゲンビリアが最高」と、花を飾った場合の顧客の生活を想像させている。

またすぐ横に置いであるミリオンバンブーには、「忙しいあなたにも簡単に育てられる、こちらがオススメ」と、仕事の合間に世話をするにも、時間をかけず手入れができる、という時間の価値を訴求している。

一方で、その花屋の入っているビルの裏にも、花の問屋が運営している花屋がある。この店には、看板に大きく、「新鮮でお得なお花!」と書かれている。

すぐ前にあるちょっと高級な花屋さんとは違い、育てるのに最適な寄せ植え用の苗が、「6つで500円」などと無造作に、多くの種類がたくさん置かれている。

切り花もどちらも全く異なり、前者は花束を中心に、ブーケやプリザーブドフラワーも充実している。後者は、1本ずつ自分で選ぶことができ、種類も限られていて、お値打ちだ。

後者の方は、園芸好きで若干高齢者をターゲットとしているようで、仏花のバリエーションも多く揃えている。

この2店に関しては、近くにありながら、棲み分けがしっかりとされていて、顧客を取り合う必要もないのであろうと思われる。


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