ロンドンとパリでもけっこう違う、子連れ観光客に対する「寛容度」

幼い子どもを連れて海外旅行をする際に、その国が子どもに対して寛容なお国柄かどうか……というのは、親として大いに気になるところではないでしょうか。無料メルマガ「出たっきり邦人【欧州編】」のライターの一人でもある、ロンドン在住の藤隼人さんは、昨年10月に子連れでパリを訪れたそうですが、「他の欧州諸国とは少し勝手が違った」という印象を持ったとのこと。一体どういうことなんでしょうか。

子連れパリ旅行

今回は、10月末のパリ旅行についてつづりたいと思います。欧州での子連れの旅はそれほど大変ではないというのがこれまで持っていた印象ですが、パリ旅行では少し勝手が違いました

ロンドンからパリに行く一番簡単な方法はユーロスターです。所要時間わずか2時間半はほどでロンドンのサンパクラス駅からパリ北駅にたどり着きます。特にベビーカーなどで行く際にはチェックイン後のセキュリティーも空港ほど煩雑ではなく、持ち込める荷物も制限が緩いため、それほど気使いする事無く行えるのは重要な点でした。

座席も未就学児なら大人と同席であれば無料というのもありがたいことです。国境を越えるため個人情報は事前に登録しておく必要があります。飛行機と違いある程度動きが取れる電車は、子供にとっても重要な要素で、それほどぐずることもなく、変わりゆく外の景色に見とれていました。

ロンドンの交通機関は古いため、ベビーカーでの移動となるとところどころ大変なことがあります。新しい駅は一応バリアフリーで、改築の際には大体バリアフリーになるのが常です。ところ変わってパリではあまりエスカレーターやエレベーターもなく、ベビーカーや重い荷物を持った旅行客には不便極まりありませんでした。そういえば、公共機関を利用してベビーカーで移動する人をあまり目にしなかったのもそういった事情だからかもしれません。

こういった状況でも、どこにでも手助けしてくれる人がいるのは感謝すべきです。ロンドンでは誰かしら手助けしてくれますし、パリでも行き先が違うにもかかわらず乗り場まで一緒に来てくれた方もいました。こういったソフト面での対応はやはりその都市を訪れた際に好印象を与えるのでプラス要因です。

パリで最も驚いた点は美術館や博物館、動植物園の入場料でした。英国では基本的に国立博物館や美術館は無料で、有料施設でも6歳以下は無料がほとんどです。パリ植物園内にある付属動物園に行ったところ、大人は14ユーロ、子供は9ユーロでした。子供料金は3歳から適用されるという理不尽さでした。フランスでは交通機関なども3歳児から小児料金が適用されるそうで、社会福祉が英国よりも整っているにもかかわらず、なぜかこの点では考慮されないようです。ちょっとした外出もかなりの出費となってしまいます。

植物園付属動物園ホームページ

英国では大概の施設は子供連れ可能ですが、フランスは大人の社会なのでしょうか、レストランなどでもあまり子連れを見かけませんでした。食べ物に関しては大人も子供もほぼ同じ料金のようです。そういえば、フランスでは富裕層でも子供にはブランド物を着させないと聞いたことがあります。子供は半人前だから社会の一部として完全に認められていないということかもしれません。
  
これまで訪れたことのある欧州の国々を比較してみると、北欧と南欧の諸国は子供に対して寛容なものの、ドイツやフランスなどはそれほどではないような気がします。東欧もどちらかといえば子供を大切にする傾向が強いです。


image by: Shutterstock.com

プロフィール:藤隼人
『街角の風景』連載。イギリス・ロンドン在住。米国に長年住んだあとに意を決して帰国したものの、ちょっとした縁からロンドンに移住。欧州の歴史や文化に惹かれた著者が、東西奔放し欧州の今を多角的な観点からお伝えします。 日本ではあまり知られていない音楽シーンなどもぜひ紹介していきたいと思います。現在、無料メルマガ「出たっきり邦人【欧州編】」のライターとして活躍中。

 

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