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あの頃に戻りたくなる。懐かしい風景を楽しめる富山のブックカフェ

坂本 正敬
坂本 正敬
2018/10/15

傾斜地の高台から眺める絶景の農村風景は一見の価値あり

鉄骨の梁(はり)など、納屋の生かせる部分は生かしてリノベーションされている(撮影:柴佳安)

店舗になっている建物は、高橋さんの引っ越した住居の敷地内に、昭和1ケタの年代に建てられたという元納屋。引っ越してきた当初は耕運機などが無造作に置かれる本物の物置だったと言います。しかし、相談を持ち掛けた建築士の協力の下、水回りやトイレ、電気や水道などの大掛かりな工事は除き、高橋さん自らが大幅にセルフリノベーションを行って店舗に作り替えます。

聞けば高橋さんは子どものころ大工になりたかったのだとか。母方のおじが大工で、10歳ころまでは大工に憧れていたと言います。思春期以降は大工の仕事やDIYにも縁遠くなったそうですが、隣家との距離感や家の広さなど、DIYができる物理的な環境と、DIYに迫られる場面の多さから再び手作りの面白さに目覚めたそう。聞けば自宅にも書斎を作ったみたいで、「子ども部屋も作らなくちゃ」と、一児のお父さんとして頼もしい発言もしていました。やるほどにスキルが身に着くという点にも、DIYの魅力を感じているみたいですね。

納屋の壁に新しく作った開口部。農村が一望できる(撮影:柴佳安)

お客として訪れた印象として、やはり「コメ書房」の魅力は優れた景観が挙げられます。店舗がある井波の院瀬見(いぜみ)という場所は、山際の集落になります。平野部の平地から見れば緩やかな高低差がある高台に位置しており、周囲の田園風景を一望できるロケーションにあります。その展望を生かすべく、店内の北側には大開口部も設けられています。農村風景を眺めながらの読書&コーヒーブレイクはぜいたくそのもの。また、風景を毎日見ているオーナーからすれば、窓の外は同じに見えて、1週間1週間、変化していくから面白いのだとか。

筆者も何度か訪れていますが、見かけるお客さんたちは、決まって窓の外に広がる風景をまぶしそうな笑顔で眺めています。人によっては懐かしさだったり、人によっては美しさだったりを農村の景観に感じているのかもしれませんね

農家の暮らしに関連した書籍やワークショップを扱う

コーノ式のドリッパーにグラインドした豆を入れ、ケトルから細いお湯を垂らすようにしてコーヒーをいれるオーナーの高橋悠太さん(撮影:柴佳安)

店内に並ぶ1,000冊ほどの書籍のジャンルを聞くと、「コメ書房」という名前だけあって、農家の暮らし、例えば農業だとか食、住居などを中心に比較的幅広いラインアップになっていると言います。すでに開催実績もあるように、今後は農家の暮らしに関連したワークショップも積極的に開いて、「農村というロケーションにあるからこそ持てる説得力」を最大限に生かし、お店のコンセプトを色濃くしていきたいとも語っていました。

また、「コメ書房」はオープン時点で、完成されたパッケージにあえてしていないと言います。実際に店舗2階の広いスペースは手付かずのままですし、何でも足していける状態になっています。すでにお店に行った人も、これから行く人も、金沢など周辺の観光地に訪れる機会があれば、ちょっとだけ足を延ばして、「コメ書房」を何度でも満喫したいですね。

ただ、お店の周辺は見渡す限り水田が広がる農村地帯です。目立ったランドマークもありませんから、何度行っても「旅の人」は迷う可能性大(笑)。必ずカーナビを装着した車で繰り出してみてくださいね

観光地情報
  • コメ書房
  • 〒932-0247 富山県南砺市院瀬見180
  • 0763-82-2655
  • 営業日:水・木・金・土曜日
  • 10:00〜18:00
  • https://komeshobo.shopinfo.jp/
  • 営業日はスケジュールをご確認ください。

撮影:柴佳安

※掲載日時点の情報です。内容等は変わる可能性があります。


翻訳家/ライター。1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の紙媒体、WEB媒体に日本語と英語で執筆する。 主な訳書に『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)。

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