変換プラグはもういらない。日本とコンセントが同じ形の海外一覧
最近では幅広い電圧に対応した電気機器がメジャーになっているため、海外旅行のときに変圧器を持っていく必要がなくなってきました。それでもコンセント(ソケット)の形が異なっている国へ遊びに行く場合、その国に対応したタイプのプラグアダプターを持っていかなければなりませんよね。
ただ、世界には日本で使っているプラグをそのまま差し込めるコンセント(ソケット)の国も少なくありませんので、今回は日本のプラグをそのまま差せる国をご紹介していきたいと思います。
実は、コンセントとプラグの世界標準化が何度も持ち上がっていた
そもそもコンセント(ソケット)の形、世界にはいろいろなタイプがありますよね?
国際電気標準会議(International Electrotechnical Commision)によると、1904年にアメリカで行われたセントルイス万国博覧会では、世界から集まった科学者や技術者の間で、コンセントやプラグの形状を含め、電気の標準化が急務であると認識されていたのだとか。
しかし、海外旅行が市民にとってメジャーではなく、電化製品も国外に持ち運びができるポータブルな商品は限られていた時代。各電化製品メーカーのマーケット自体も市場が狭かったため、世界で共通してコンセントとプラグを標準化する必要性はなかったのですね。
20世紀の初頭に入り、各国のメーカーが独自のコンセントとプラグを作って販売してしまう現状においても、国際電気標準会議は、ヨーロッパで規格の統一化を試みるなどして標準化を図ります。
しかし、第2次世界大戦の開戦で状況はさらに厳しくなり、戦火が世界に飛び火するに及んで、コンセントとプラグの標準化など、もはや議論している場合ではなくなってしまったのですね。
戦後も統一した動きは生まれず、むしろ自国に十分なインフラを持つ国は、自分たちの方法で自分たちのコンセントとプラグを家の壁に設置し続けます。
それでも標準化を諦めなかった国際電気標準会議が1970年代に「世界共通」のプラグを発表し、ブラジルと南アフリカが採用を決定するなどの動きがありました。その結果、さまざまなコンセントの形状があふれる世界になってしまったのですね。
日本に「タイプA」が広まっている理由とは?
上述のような歴史を振り返ってみると、日本が世界のどの国と共通したコンセントの形を持っているか、大まかな予想ができるようになります。
一般社団法人日本配線システム工業会の事務局によれば、日本のコンセントの歴史は、明治時代にまでさかのぼると言います。文明開化と共に欧米からさまざまな形状のコンセントが輸入されるようになり、広まっていったのだとか。
しかし、当初のコンセントは、電源を接続するだけの目的で、それぞれに互換性はありませんでした。そこで大正15年に日本電熱工芸委員会が、コンセントの形(極配置)を統一します。
当時、 輸入されていたコンセントはドイツ製と米国製が主だったとかで、性能はドイツ製を、コンセントの形(極配置)はアメリカを参考にしたそう。結果として、日本でもアメリカ規格のコンセントの極配置が広まっていくのですね。
もちろん、第2次世界大戦後の日本も、アメリカを筆頭としたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の統治下に入ります。戦後復興の際には当然、アメリカ規格のコンセントとプラグが採用されます。
その流れは今に至りますから、日本とアメリカはコンセントの形が一緒なのですね。ちなみに日本のコンセントの形状を「A型(タイプA)」と言いますが、AはAmericanの頭文字を表しています。