台湾料理界の鉄人。その伝説の味は、ラブストーリーから始まった

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2019/09/29
  • −料理を作る楽しさを感じ始めたのは、いつくらいからですか?

駆け出しのころは、まだお客様には出せませんが、麺を炒めたり、チャーハンなど簡単なものではありましたが、料理を作れるときが嬉しかった。

そしてスタッフに味見をしてもらい、師匠にも味見してもらい、OKをもらってからお客様に料理を出せる喜びを味わいました。お客様に出す料理や良いサービスも私たちの喜びのひとつ。それに伴う責任も感じています。

image by:編集部

スーシェフやシェフなどキャリアも上がっていくと、新しい料理の開発にすごく力を注ぐようになりました。

例えば、台湾で3つの伝統のお祭り、春節(旧正月)、ちまきを食べる端午節、月餅を食べる中秋節があるのですが、文化のなかでも大事な日で、台湾ではこの3つのお祭り時期に合わせて料理のコンテストが開催されます。

我々のチームは毎回参加しており、必ずトップ3には入っています。コンテストに参加するのであれば、優勝を目指し、いいポジションを取らないといけません。

いつも上を目指し、良い成績を取ることで、会社に利益をもたらすこともできるし、ホテルも有名になります。

  • ―数えきれない賞を受賞されているのですね

覚えてないくらいですね(笑)。「ぶっ飛びスープ(頂級花膠鮑魚)」という料理があるのですが、これは何度受賞したかわからないくらいの名物料理です。

ぶっとびスープ image by:ザ・シャーウッド台北

月餅も受賞したことがあるし、今回、帝国ホテルにて提供したローストクリスピーポークは、コンテストでトップ3に入った料理です。食感がよくて、非常に香ばしい一品です。あの食感を出すのに、手間暇かけて焼き上げています。

ザ・シャーウッド台北は大きなホテルではありませんが、台湾において、トップレベルの位置にいると自負しています。アットホームで料理の品質も高くて、繊細。品質を維持するとともに、台湾の料理界をリードする存在であり続けたいと思っています。


  • ―たくさんの著名人に料理を提供されたとか

アメリカのブッシュ元大統領。イギリスのサッチャー元首相。映画監督のアン・リー監督、香港の芸能界の方々も数多くいらしてます。2016年に台北マリオットで開催された台湾総統の就任式で1,200人ものゲストに腕を振るいました。

  • ―今回、帝国ホテルとのフェアで日本へ持ってきた料理を教えてください

伝統料理でありながら、新しいアイデアを入れたもの、コースやアラカルトと違って、大皿で出されるブッフェスタイルなので、時間がたっても味が変わらない料理を選びました。

揚げ豆腐のチリガーリック添えは、豆腐の水分を一回取った後に、干し椎茸やエビなどを混ぜて、蒸してからまた揚げる。いくつもの工程を織り交ぜた豆腐料理なので、単純な料理ではありません。揚げたニンニクを使うことで、見た目も味も香ばしくなっています。

鶏のねぎソテー image by:帝国ホテル

鳥のねぎソテーは、日本産の鶏もも肉にあわせ、ネギを多めに入れて香ばしくようになるようにレシピを作り直しました。

そして桃饅頭ですが、親子桃饅頭で、見た通り、一つ大きな桃饅頭があって、そのなかに小さい饅頭が入っています。台湾では60歳になったら、もっと長生きできるようにと、桃饅頭を出します。昔話で、神様や女神が食べる桃の形になっているんです。

帝国ホテルのバイキングが今年で61歳を迎えたということで、お互い関係を末長く続くようにと、この桃饅頭を用意しました。

―ザ・シャーウッド台北には殿堂入りしたメニューがあるとか

サッチャーコース image by:ザ・シャーウッド台北

ブッシュ元大統領コースと、サッチャー夫人コースですね。鴨のローストやフカヒレ、蒸し魚、伊勢海老、アワビ、もち米のご飯などを用意しているブッシュ元大統領コース。サクサクの鳥のロースト、子豚の姿焼き、フカヒレ、伊勢海老、アワビ、酢豚、蒸し魚などはサッチャーコースです。

日本からのお客様も良く注文されるのですが、男性はブッシュ元大統領コース、女性はサッチャー夫人コースを選ばれているようですね。

あと、帝国ホテルコースもあるんですよ。前回来日した際に、大阪 帝国ホテルにある、中華レストラン「ジャスミンガーデン」でインスピレーションを受けたメニューをアレンジして提供しています。

  • ―シェフの料理は、広東料理をベースに中華料理と西洋料理の素晴らしさを融合させた中洋折衷料理といわれているようですが

いままでの中国料理は、大皿から取り分けるスタイルでしたが、一人一人の前に一人前の料理を提供する西洋のコース料理スタイルを取り入れています。時代と流行は常に変わりますが、自分の特長を料理に入れて、その時々の流行と合わせてやっていくことが大事です。

image by:編集部

シャーウッド台北は新メニューの開発にも力を入れています。テーマを決めて、ホテル中のシェフが集まって交流する。基礎をしっかり維持した上で、新しいアイデアを入れることにしています。

シャーウッド台北では、いらっしゃるお客様に誠意を感じてもらうことを大切にしています。たった1杯のお水でも、シャーウッドで飲んだ水を忘れられない1杯にしたい。記憶に残る料理を提供し、お客様に特別な思い出を作ってもらう。そして、また来てもらうのが、私たちの望みです。

台北にある名門ホテル「ザ・シャーウッド台北」、その歴史

image by:ザ・シャーウッド台北

高氏が腕を振るう「怡園」がある「ザ・シャーウッド台北」は、台北市の中心部である松山区にある五ツ星ホテルです。1990年の開業以来、国内外から数多くの政府要人や経済界、エンターテインメント業界のスターたちを迎えてきました。

その名である「西華(シャーウッド)」のように、東西文化の粋を併せ持ち、クラシカルでエレガントな外観は、東洋文化の奥ゆかしさと優雅で荘厳なヨーロピアンスタイルを兼ね備えています。

image by:ザ・シャーウッド台北

残念ながらすでに帝国ホテルでの高シェフの料理提供は終わってしまいましたが、ぜひ台湾へ、本場の味を現地で楽しんでみてはいかがでしょうか。

  • ザ・シャーウッド台北
  • 松山区民生東路三段111号
  • +886-2-2718-1188
  • 公式サイト
  • 帝国ホテル 東京
  • 東京都千代田区内幸町1-1-1
  • 03-3504-1111
  • 公式サイト
  • image by:ザ・シャーウッド台北
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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旅をこよなく愛する編集者。情報誌やエンタテインメント誌、ビジネス誌などで編集・ライターとして経験を積み、中国上海、カンボジア・プノンペンでの在住経験も有。2015年に帰国してからフリーライターとしてワークスタイルを確立。幅広いジャンルのテーマで執筆している。

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