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いいものは、いい。日本文化に影響与えた「琳派」の京都に訪ねる

琳派の独自性

一方琳派は狩野派や土佐派とはその成り立ちや画風や技法などが全く違います。琳派の祖・本阿弥光悦が俵屋宗達などと作り上げた作風が後に琳派と呼ばれただけで、当主も組織も派もありません。本阿弥光悦や俵屋宗達が世を去った約100年後、二人の作品に影響を受けた尾形光琳・乾山兄弟、そのまた約100年後に影響を受けた酒井抱一などを琳派と呼びます。琳派にはお互いのつながりも師弟関係もなく、影響を受けた後世の画家が様式を模倣することで受け継がれてきた流派です。彼らは絵師であり職人でありアートディレクターでした。

琳派の作品は狩野派に負けないぐらい観る者を楽しませ、刺激を与え、強い印象を残しました。とても大胆かつゴージャスで、俵屋宗達の風神雷神図屏風」などに代表される金箔を使ったダイナミックな構成や、先に塗った色が乾く前に別の色をたらしてにじませる「たらしこみの技法」は特に有名です。

様式的には漢画の技法を軸としながら大和絵の要素を取り入れ独自の華やかなデザインを融合させたものです。皇室や公家、幕府や大名とのつながりは極めて薄く、京都の裕福な町人に好まれました。本阿弥光悦は、京都の裕福な町人出身であり、刀剣の鑑定や研磨などを生業とする商人でした。俵屋宗達も大豪商「雁屋(かりがねや)」の息子で扇や団扇に絵付けをする工房を営む職人でした。

土佐派は皇室や公家好みの作品を、狩野派は武家の好みに応じた作品を作っていたのに対して、琳派の光悦や宗達は自分たちが好きな作品を自由に作って観る者を楽しませていた点が大きく異なります。その意味で、土佐派は宮廷文化、狩野派は武家文化ですが、琳派は(裕福な)町人文化に区別することが出来るでしょう。

また琳派の影響は屏風や掛軸など絵画だけに留まらず、扇面や団扇の絵にも及んでいます。そして粟田焼、清水焼などの陶器の絵付けや硯箱など漆工芸の意匠、友禅など着物の柄など、その後の京都日本の文化に大きな影響を与えています。

琳派ゆかりの名所

最後に琳派ゆかりの名所をいくつかご紹介します。

  • 光悦寺:光悦や宗達らが移り住んだ洛北・鷹峯にある芸術村の中心地
  • 建仁寺:本坊に宗達の最高傑作「風神雷神図屏風」を所蔵
  • 養源院:宗達作の「唐獅子図」「白象図」「波と麒麟図」の杉戸絵と松の間の「松図」を所蔵
  • 本法寺:本阿弥家の菩提寺、光悦筆の寺名の扁額、光悦作庭の「三巴の庭」
  • 妙顕寺:光琳の絵を元に作庭された「曲水の庭」
  • 醍醐寺:宗達作の「扇面散図」「舞楽図」を所蔵)
  • 下鴨神社:光琳作の「紅白梅図屏風」のモデルとなった御手洗川沿いの梅の木

いかがでしたか?

京都の魅力はこのようにお寺1つとっても、建築様式や庭、襖絵などの障壁画、調度品などに至るまで実に様々な見所が存在するところにあります。そのため一度行ったくらいでは到底気づく事の出来ない魅力を後から知ることになり、何度も足を運ぶことになるのです。京都はエリアごとに見てまわることが多いかと思いますが、このように「琳派しばり」と決めてまわるのも統一感があっていいものです。

  • image by: Shutterstock.com
  • ※初出:2019/10/02・MAG2NEWS
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ 週刊

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