なぜ神社ではかしわ手、お寺では合掌?お正月の恒例行事に隠された謎

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2020/01/03

なぜ、お正月に「鏡もち」を飾るの?

image by:photoAC

最後は「鏡もち」について。最近は本物のもちではなく、木製などディスプレイの「鏡もち」まであるくらいです。この鏡もち、どうしていまの時代も日本人は、正月に神棚や床の間に飾るのでしょうか。

そもそもこの鏡もち、『五節供稚童講釈』には、

<鏡に似たるゆゑに名付けたるなり>(『年中行事大辞典』に紹介された『五節供稚童講釈』より引用)

と、名前の由来が紹介されています。丸く鏡のような形のもちを用いるところから、鏡もちといったのですね。

昔は「歯固めの鏡もち」とも呼んだそうで、歯を齢(よわい)という漢字に使うように、歯の生え方は人の年齢を表し、命を暗示します。その齢を固めるために、カチコチの硬い状態になった鏡もちを食べ、長寿を願ったみたいです。

また、『にほんのおまじない』(徳間書店)には、お供えしている間に、鏡もちに神様が宿るとも書かれています。その神様をお雑煮やお汁粉にして食べ、体の中に神聖な力を取り込むという意味もあるのですね。

image by:Shutterstock.com

1月11日の鏡開きでは、「包丁を使ってもちを切ってはダメ」だともいわれています。その理由は、せっかくの神様との縁が、切れてしまうから。

昔の人は木づちでたたいてくだいたそうですが、最近のなめらかなもちの場合は、一度天日に干してあげると、崩れやすくなるみたいです。

鏡もちには、食べる行為にも重大な意味がある様子。このところ、「鏡もち」の形をした置物を用意する家も少なくないと思いますが、せっかくなら本物の鏡もちを用意して、おいしくいただき、神様のパワーを体の中に取り込みたいですね。

今回は、年末年始に関係するおまじないや験担ぎ、おめでたい風習などのいわれや由来、歴史を紹介しました。何気なくやっている行動も、意味を分かってやれば、なんだか気持ちも違ってきます。ぜひとも参考にしてみてくださいね。


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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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