なぜ神社ではかしわ手、お寺では合掌?お正月の恒例行事に隠された謎
なぜ、お寺では「合掌」をするの?
かしわ手に似た動作として、「合掌」にはどのような由来があるのでしょうか。神社ではかしわ手、お寺では合掌をします。仏教に由来しているとは何となく分かるのですが、実際はどうなのでしょう。
『広辞苑』(岩波書店)によれば、もともとはインドで古くから行われていた礼法のひとつだといいます。南アジア諸国では、今でも挨拶に合掌を使っているとの話。
確かに筆者もインド、ネパール、スリランカなどを旅行した経験があり、現地では挨拶の場面で合掌を行った覚えがあります。南アジアだけでなく、東南アジアでも時折見かけますが、この作法が仏教にも取り込まれたのですね。
知人の僧侶に聞くと、仏教においては右手が仏や神聖さや真理を意味し、左手が人間や不浄や煩悩を一般的に意味すると言います。仏と自分たちを一緒に合わせる行為が、まさに合掌だと教えてくれました。
平凡社の『世界大百科事典』にも、
<仏教でも右手を仏,左手は衆生(しゆじよう)を表すものとして,これらを合わせたところを,仏と衆生が合体した姿,すなわち成仏の相(そう)を表すものと考える>(世界大百科事典より引用)
とあります。合掌と一言でいっても、
- 堅実心合掌(手のひらをぴったりと合わせる)
- 虚心(こしん)合掌(手のひらと手のひらの間にふんわりと空間を作る)
など、12種類ものバリエーションがあり、仏道の世界ではきちんと使い分けがされているといいます。
一般の人でいえば、堅実心合掌は主に食事の際の「いただきます」とともに、虚心合掌は普段のお参り時に使うといいみたいです。状況に応じて使い分けながら、合掌の意味も感じてお参りすると、また得られる深みが違ってくるかもしれませんね。