日本語の「ことわざ」や「オノマトペ」etc、海外ではなんて言う?
なぜそう聞こえる?世界の不思議な「動物の鳴き声」
次はオノマトペ(擬音語)です。
みなさんご存じかもしれませんが、おさらいしておくと擬音語の意味は、
<実際の音をまねて言葉とした語>(岩波書店『広辞苑』より引用)
です。
イヌの鳴き声を「ワンワン」、ネコの鳴き声を「ニャーニャー」、ニワトリの鳴き声を「コケコッコー」、ネズミの鳴き声を「チューチュー」と表現するような言葉ですね。これらのオノマトペは、当然ですが国によって大きく変わります。
先ほど参考にした文献によると、擬音語についても、興味深い例がいくつも掲載されています。
たとえば、イヌの「ワンワン」という鳴き声については、インドネシアやルーマニアでは全く違った言い方が一般的です。
イヌは「ゴンゴン」/インドネシア
イヌは「ハムハム」/ルーマニア
ネコののど声である「ゴロゴロ」については、フランスでは全く違います。
ネコは「ロンロン」/フランス
このようにフランスでは表現します。
では、続いてネズミの鳴き声について。日本人だと「チューチュー」を思い浮かべますよね。しかし、ロシアではちょっぴり不思議な鳴き声が浸透しています。
ネズミは「ビビビ」/ロシア
ロシアでは「チューチュー」ではなく、「ビビビ」というそうです。
そもそもネズミがどのように鳴くのか、実際に筆者は耳にした経験がないため、「チューチュー」の信ぴょう性も判断できないのですが、「ビビビ」はなかなかユニークな感性ですよね。
このオノマトペ、同じ日本でも時代によって違いがあります。いまでこそ「ワンワン」と表現されるイヌの鳴き声も、約1000年ほど前の歴史物語『大鏡』には、「ビヨ」と表現されているそう。
また、伝統芸能のひとつである狂言にも、一般的な現代の日本人が考える擬音語とは大きく違った表現がたくさん見られておもしろいです。
中里理子著『狂言台本山本東本に見るオノマトペ-浄瑠璃・歌舞伎脚本との比較とともに-』によれば、
- クヮイクヮイクヮイ/キツネの鳴き声
- コカアコカアコカアコカア/カラスの鳴き声
- ビョウビョウビョウビョウビョウビョウ/イヌの鳴き声
が紹介されています。
キツネは「コンコン」、カラスは「カーカー」という鳴き声を思い浮かべますが、狂言ではこのように表現されているのです。このデフォルメされたオノマトペの感じが、とてもユニークな響きに聞こえますよね。