俺たちが日本一ばい。地元民がおすすめする、都内にある九州「アンテナショップ」

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2020/09/19

熱き魂を感じる「銀座熊本館」/中央区銀座

image by:徳永秀一郎

そして今回最後にご紹介するのは、火の国・熊本です。同県といえば「火の国」と呼ばれる由来となった活火山である「阿蘇山(あそさん)」がまず有名ですよね。「あそ」はアイヌ語で「火を噴く山」という意味であることから、火の国と呼ばれているという説が一般的です。

熊本はまた、水がとても美味しいことでも知られています。とくに熊本市は、約74万人の人々が使う水道を「すべて」地下水で賄っています。これは世界広しといえど、とても珍しいことです。

阿蘇の西側に降った雨が地下に浸透し、長い年月をかけてろ過され、その過程でミネラルを含み、それを水源池でくみ上げたものを水道水として使っています。

ご存じのように、水が美味しいところは、お酒が美味しい。そして、お酒が美味しいところは食べものも美味しいものです。

日本一の生産量を誇る「スイカ」、阿蘇の周辺の広大な草地に放牧されてすくすくと育つ「あか牛(うし)」や「馬肉」。さらにあまり有名ではないかもしれませんが、水がおいしいことが絶対条件の「豆腐」も、やはりとても美味しいです。

熊本駅前にあった小さな居酒屋の「ざる豆腐」を超える美味しい豆腐を私は食べたことがありません。

私の祖父は熊本にルーツがあってスイカを生産しており、毎年夏になると、とても美味しいスイカを送って来てくれていました。

また定期的に家族旅行で熊本を訪れ、夏には五木村(いつきむら)へ行き、山を駆け、川で釣り、ひぐらしの鳴き声を聞きながら夕日が沈むのを眺めるという、まさに「THE 夏休み」というような体験をしていました。

それは私が小学生のころの話ですが、五木村は「川辺川ダム」の建設予定地となっていて、その大部分がダムの底に沈むことになっていました。


川辺川の紅葉 image by:photoAC

夏休みの期間を利用して、ダムのことについて住民のかたにいろいろと取材をし、ダムが必要な理由、一方で自分たちが住んでいる土地がダムの底に沈む住民の気持ち、この両方を対比しながら小学生なりにバランスよく描写した夏休みの作文は、何かの賞をもらったと記憶しています。

そして約30年のときを経たつい先日、2020年7月の豪雨で、再び五木村と川辺川ダム計画が全国的に注目されることになりました。

image by:徳永秀一郎

さて、そんな熊本県のアンテナショップは銀座にあります。「銀座熊本館」がその名称で、東京都中央区銀座5丁目3-16にある、とても趣のあるビルの1~3階がその場所です。

銀座熊本館が建っているのは皇居をぐるりと一周する「外堀通り」に面した場所です。その令和元年の路線価は、なんと1平方メートル辺り2,137万円です。

実はこの場所、熊本県が戦後から長く大切にしている資産です。現在は民間の保険会社と共同で建物を使用している銀座熊本館は、1階がアンテナショップ、2階に「くまもんグッズ」コーナーと、熊本の郷土料理を楽しむことができる「ASOBI・Bar」という飲食店、3階は熊本県東京事務所という構成になっています。

アンテナショップめぐりは球磨焼酎で「〆る」のが俺たちの楽しみ方ばい

この記事の最後を銀座熊本館で飾りたかった理由、それは2階の「ASOBI・Bar」があるからにほかなりません。

全国津々浦々、美味しいご飯、美味しい酒を飲ませてくれるアンテナショップはようけあるばってん、やっぱ九州もんなら焼酎くさね(訳:アンテナショップはたくさんあるけれど、やはり九州の人間なら焼酎ですよね)。

アンテナショップをめぐって、最後は銀座でお酒を楽しんで帰りたい。そんなかたにぜひ訪れていただきたいのです。

杉村輝彦さんと球磨焼酎 image by:徳永秀一郎

「伝統的に熊本人は前に出ていくPRがあまり得意でないので埋もれがちですが、世界一の良いお酒を造っていると思いますよ」

そうご案内くださるのは、銀座熊本館の店舗責任者・杉村輝彦さん。熊本生まれ熊本育ち、肥後もっこすは大体友だち。ついには熊本を世界にPRすることに人生をかけるまでになってしまった、筋金入りの熊本人であります。

「とくに全国の、いや世界のみなさまに飲んでいただきたいのは『球磨(くま)焼酎』です。一口に球磨焼酎といっても大まかに3種類に分けられるんですよ」(杉村さん)

その3種類とは

  1. もろみを高温で沸騰させて、沸点の高い成分や、沸騰による化学変化によってできた成分などの独特の香りや味わいを生み出す常圧蒸留酒
  2. 逆に沸点を下げることによって、あえて化学変化を起こさず、もろみの香りや味の成分をなるべく残すことを主眼においた減圧蒸留酒
  3. 焼酎の原酒を樫樽で熟成させた、ライスウイスキーとも呼ばれる樽熟成酒

です。

読者のかたのなかには「九州の焼酎」と聞くと、芋や麦のイメージが強いかたもいらっしゃるかもしれません。しかし球磨焼酎は米を原料に造られています。

また、球磨焼酎の原料となる水は人吉市か球磨郡で採水しなければならないというルールがあります。

ここ「ASOBI・Bar」では、熊本の郷土料理を肴に、27蔵元の球磨焼酎を楽しむことができます。もしあなたが熊本初心者、球磨焼酎初心者ならば、まずはここで「ほろよいセット」を注文してみてください。

馬刺し image by:徳永秀一郎
からし蓮根 image by:徳永秀一郎

これは郷土料理の「馬刺し」「からし蓮根」「本日のおすすめ」の3種類の肴と、お好きな球磨焼酎からなるセットです。

どの球磨焼酎を選べば良いか分からない場合には、店員におすすめを尋ねてみてください。球磨焼酎は米焼酎なので、芋や麦に比べてクセがなく、基本的にはどのような料理にも合うので心配する必要はありません。

image by:徳永秀一郎

それでもあえておすすめするとすれば、「阿蘇あか牛の煮込みハンバーグ」や「レンコンカレー」のようなしっかりとした味のついた料理を召し上がる際には、「武者返し(寿福酒造)」や「極楽(林酒造)」といった、コクのあるタイプの球磨焼酎を。

「天草海鮮丼」のように素材の味そのものを楽しみたい料理を召し上がる際には、「球磨拳 -くまけん-(恒松酒造)」や「彩葉 -さいば-(深野酒造)」のようなスッキリタイプの球磨焼酎を。

「陣太鼓」のようなデザートメニューには「樽御輿 -たるみこし-(福田酒造)」や「大石(大石酒造)」のような香り系球磨焼酎がよく合います。

この記事を参考にアンテナショップめぐりをしてくださった読者のかたのなかには、「地獄(大分県)」で「天国」を味わわれたかたもおいでかもしれません。そんなかたにはぜひ、最後に「極楽」を味わっていただきたいと思います。

「極楽」とは常圧蒸留の球磨焼酎(減圧蒸留バージョンもあり)です。米のふわっとした柔らかくて優しい香りが鼻に抜けてとても美味しいです。個人的には現時点での米焼酎の王者だと思っています。私は、一口目を含んだ瞬間「うまっ!」といってしまいました。

極楽を造るのは林酒造場の兄弟。お兄さんは酒問屋の営業マン、弟さんはフランス料理レストランでソムリエを目指していたなかで熊本に帰り、家業を継いだという経歴の持ち主。

それぞれの経験の良いところが混ざり合って化学変化を起こし、新しい時代の球磨焼酎を造っているようです。個人的には、お酒が強いかたにはぜひ、氷のみで「極楽ロック」を味わっていただきたいです。

アベックラーメン image by:徳永秀一郎

そしてシメといえばラーメンというかたも多いかと思いますが、ここ「ASOBI・Bar」では、熊本県民なら誰もが知っている「アベックラーメン」でシメることができます。

アベックラーメンは1袋2人前。1960(昭和35)年の発売時に「アベック」という言葉が流行語になったことで、その名を冠した商品ができたそうです。

ここでアベックラーメンを注文すると、ちゃんとフライドガーリックも付いてくるけんね。きちんと地元の王道の食べ方でシメてほしいとよ。

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