知ってたらスゴいぞ…日本の不思議な「伝統行事」、その理由

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2020/12/16

「羽根つき」は蚊から子どもを守るおまじない

image by:Shutterstock.com

次は同じく、正月遊びの「羽根つき」について。羽根つきとは、鳥の羽根を付けたムクロジという落葉高木の種を、羽子板で打ち合う遊びです。

いまでこそ見かけなくなった遊びですが、何かの機会で1度や2度は、体験した覚えのある遊びだと思います。カーンという乾いた音の響きが、なんとも気持ちのいい遊びですよね。

この羽根つきの道具である羽子板を、女の子が生まれた家に、初正月を迎えるタイミングで贈る風習が各地に見られます。

確かに羽子板はおめでたい見た目の印象があり、贈り物としても似つかわしい感じがしますが、どうして羽子板=正月に贈るのでしょうか。

そもそも羽子板の由来は室町時代までさかのぼります。小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』によれば、室町時代の『下学集』という書物に「羽子板(ハゴイタ)正月ニ 之ヲ用フ」という記述が見られるといいます。

この記述がまさに、文献に羽子板が登場する初めての例だとされていますが、この羽子板と羽根つきが、時代とともに浸透していきます。

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ムクロジの種に羽根を付けて、それを打ち合う意味としては、

<これはおさなきものの、蚊にくはれぬまじなひ事なり、秋のはじめに蜻蛉(とんばう)といふむし出きては、蚊をとりくふ物なり、こきのこといふは、木連子(むくろじ)などを、とんばうがしらにして、はねをつけたり、これをいたにてつきあぐれば、おつる時とんばうがへりのやうなり、さて蚊をおそれしめんために、こきのことてつき侍(はべ)るなり>(一条兼冬補著『世諺問答(せげんもんどう)』1544(天文13)年より引用

とあります。

要点をまとめると、ムクロジの種に羽根を付け、その様子をトンボに見立てた遊びだったわけです。


トンボはを食べる生き物らしく、蚊は医学が発達していない当時、伝染病の媒介者として現代以上に子どもの命を脅かす危険な存在だったのだとか。

なので羽子板を子どもにやらせて、蚊を恐れさせ、子どもが蚊に刺されないように、おまじないをかけたのですね。

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この羽子板(羽根つき)が江戸時代に入ると、「邪気をはねのける」という語呂から、贈答品として重宝されるようになります。結果としていまでも多くの地域に残っているように、女子が生まれた家の初正月に、羽子板が贈られるのですね。

確かに、羽子板の気持ちのいい響きは、邪気をはねのけてくれるような明るさがあります。今年、身近な友人の家に女の子が生まれたという人は、新年に入ってから羽子板を贈ってみてもいいかもしれませんね。

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