江戸時代にチョコはあった?知ってたらスゴい「チョコレート」の歴史

Array
2021/02/13

戦中は「代用チョコレート」がつくられた

image by:Shutterstock.com

その後、日本では「食べるチョコレート」が花開きます。

1900年前後に、アメリカで技術を習得した森永太一郎が「森永西洋菓子製造所(現・森永製菓)」を創業。報知新聞に「チョコレートクリーム」の広告を載せ、板チョコレートの製造も始めています。

続いて、「不二家」や「東京菓子(現・明治製菓)」もチョコレートの製造を始め、日本にはさまざまな「食べるチョコレート」が登場します。

電車広告には、

<吾国に於ける最初の製造森永ミルクチョコレート、ポケット用1個十五銭出でたり>(『たべもの起源事典』より引用)

といった言葉が見られるようになり、大正時代の後半から昭和に入ると、チョコレートは爆発的に庶民の間で普及していきました。

しかし、その後にやってくる第二次世界大戦の影響で、チョコレートにも暗黒の時代が訪れます。

輸入制限令が出され、カカオ豆の輸入が制限されました。さらに開戦の1940(昭和15)年になると、軍需用以外のチョコレート製造が認められなくなります。

仕方なくこの時期、サツマイモや小豆などをいって粉にし、油やバニラを加えた代用チョコレートがつくられました。それだけ庶民の間で、チョコレートに対する恋しさが生まれていたのかもしれません。

image by:Shutterstock.com

戦争が終わり、1950(昭和25)年にカカオ豆の輸入が認められると、再びチョコレートが日本人の暮らしに戻り始めます。


完全な復活は1960(昭和35)年にカカオ豆、ココアバターの輸入が自由化されたタイミングでした。その後、さまざまなチョコレートがつくられるようになり、時は平成、令和と流れて現在に至ります。

2021年のバレンタインデー。チョコレートに詰まっている壮大な歴史の重みをかみしめながら、美味しさを楽しんでみてはいかがでしょうか。いつもとは違った視点でチョコレートの魅力を再発見することができるかもしれませんよ。

  • 参考
  • ソフィー・D・コウ、マイケル・D・コウ著『The True History of Cholocalte』
  • 岡田哲著『たべもの起源事典』(東京堂出版
  • 日本チョコレート・ココア協会監修『学んで楽しい、つくっておいしい チョコレートの大研究』(PHP)
  • image by:Shutterstock.com
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
  • ※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
いま読まれてます

翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

 富山 お土産の切り札に。ノスタルジックに魅せられる富山「ケロリン桶」 ★ 277
 石川 この思い、関係を断ち切りたい…金沢の縁切り&縁結び神社「貴船明神」 ★ 144
 海外 なぜ、ナイアガラの滝はあんなに大きい?カナダに隠された4つの謎 ★ 36
 新潟 太古の海水の温泉。フォッサマグナが生んだ、新潟「糸魚川温泉」 ★ 297
 石川 豪華な鉄道旅。加賀の美意識が凝縮された観光列車「花嫁のれん」 ★ 240
エアトリ 憧れの北欧。デンマーク・コペンハーゲンで暮らすように旅をする
江戸時代にチョコはあった?知ってたらスゴい「チョコレート」の歴史
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
TRiP EDiTORの最新情報をお届け
TRiPEDiTORオフィシャルメルマガ登録
TRiP EDiTORの最新記事が水・土で届きます