豪華な鉄道旅。加賀の美意識が凝縮された観光列車「花嫁のれん」

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2019/10/17

石川県の金沢に「行ってみたいな」と感じている人は、少なくないと思います。ただ、せっかく行くのであれば、少し足を延ばして能登半島にも訪れてみたいところ。

能登半島の真ん中にある和倉温泉や七尾などを目的地とするのであれば、金沢と能登の周遊も落ち着いて楽しめます。そこで今回は金沢から和倉や七尾へ移動する過程も楽しめる魅力的な交通手段、JRの観光列車「花嫁のれん」を紹介します。

車内に「金箔」が使われた豪華な観光列車

image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

「花嫁のれん」とは少し変わった呼び名ですが、もともと江戸時代の加賀(現在の石川県と富山県の一部)で広く親しまれている婚礼品がネーミングの由来となっています。

筆者も旧加賀藩のエリアで生まれ育った女性と結婚したため、祝いの品として花嫁のれんを受け取った経験があります。花嫁の幸せを願って、嫁ぎ先に嫁ぐ側から美しいのれんを贈る習慣が加賀地方にはあるのですね。

image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

花嫁のれんという加賀の伝統文化に由来する名前からも分かるように、この列車は加賀100万石の美しい文化が随所に盛り込まれています。

外観と内装には加賀友禅輪島塗のモチーフが随所に採用され、日本におけるの金箔の生産を一手に引き受ける金沢の列車らしく、内装にはぜいたくに金箔も使用されています。

image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

筆者が乗車した日の乗車率は7~8割ほど。年配の女性や外国人旅行者がほとんどでしたが、全員が車両に乗り込んだ瞬間、ため息をもらしていました。この見た目の華やかさは、日本各地にある観光列車の中でもトップクラスだといえます。

image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

車内の空間設計も、乗客の目を楽しませてくれます。通常の車両は左右対称で作られており、直線の通路が車両の中央を貫いています。

花嫁のれんの場合は、あえて通路に曲線を描かせています。その動線に敷かれたじゅうたんには、日本庭園の飛石に似た模様も描かれています。日本三名園の兼六園を意識しての話でしょうか、車内も日本庭園をイメージしているのですね。


2号車のボックス席 image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

1号車は特に作りが個性的で緩やかなカーブを描く「小道」の通路沿いに、目隠しを兼ねたスリットフェンスのような木製のポールが並んでいて、車内を歩くたびに室内の見え方が変化します。

ポールで区切られた「小部屋」にもそれぞれ異なる名称が名付けられていて、壁紙デザインもサクラやウメ、ナデシコ、扇、鉄線、キク、ササ、流水などさまざまなバリエーションが設けられています。

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