なぜ、いま?イギリスのスーパーで浸透しつつある「賞味期限表示」の撤廃

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2022/09/24

日常に隠れた異文化を知れるのは「スーパー」もそのひとつ。日本では普通のことですが、なんとイギリスでは調理済みの商品のみならず、袋詰めされた日持ちする野菜などのほとんどに賞味期限が記載されています。

ですが、そんな日常に変化が訪れており、近年「賞味期限表示の撤廃」を開始したスーパーも少なくありません。なぜ、イギリスではいまになってこのような動きが見られるのでしょうか?

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

「賞味期限表示の撤廃」で食品ロスの削減に?

image by:Gary L Hider/Shutterstock.com

今回ご紹介するのは、イギリスのスーパーについて。置いてある野菜の違いや、魚の種類がと~っても少ないなど、日本のスーパーとの品ぞろえの違いだけでなく、もうひとつ大きく違うことが。

それは、サンドイッチやサラダなどの調理済みの食品だけでなく、袋詰めやパックされて売られている生鮮食品のほとんどに、賞味期限が付いていることです!

日本のスーパーでも、パックされて売られているお肉やお魚、卵、牛乳やチーズなどには賞味期限が付いていると思います。

ですが、イギリスでは、トマトなどの比較的傷みやすい野菜だけでなく、かなり長い期間保存可能なジャガイモやサツマイモ、そしてリンゴや洋ナシなどの果物にも、袋に入っているもの、パックされているものには、賞味期限が付いているんです。

image by:Matylda Laurence/Shutterstock.com

ですが、ここ数年、この野菜や果物を始めとした、生鮮食品の賞味期限表示を廃止するという動きが、大手スーパーで出ているのです!理由は、食品ロスを減らすため

チャリティー団体「Waste & Resources Action Programme(Wrap)」によると、イギリスの食品廃棄物の70%は家庭内での廃棄で、実際には食べられるはずの食品が、年間約450万トンも処分されているのだそう。数字が大きすぎて、想像できない量ですよね。

この食品ロスを減らすために、みんなが自分で匂いや味を確かめて、食べられるものは食べるようにするために、賞味期限を撤廃するという動きが出ているのです。


たとえば、イギリス大手スーパーのひとつ「Tesco」は、すでに2018年から100以上の食品の賞味期限表示を廃止していますが、2022年に入ってから、この動きが加速。他のスーパーでも、次々に野菜や果物などの賞味期限の表示が撤廃されています。

なかには、自社ブランドの牛乳の消費期限(食品を安全に食べられる期限)まで撤廃するところも。

日本人の私にとっては、野菜や果物に賞味期限がついている方がむしろ不思議でしたが、このニュースが大々的に報道されているということは、イギリス人にとっては大きな変化なのだと思います。

とはいっても、コロナで味覚や臭覚に問題を抱えている人もいる、このタイミングで「食べたり、匂いを嗅いだりして確認」って、アリなのかな?とちょっと思ったりします。

ですが、野菜や果物などは、見かけだけでも、ある程度の鮮度が分かりますよね。ですから、食品ロスを減らすためには、いい流れなのかもしれません。

image by:AL Robinson/Shutterstock.com

ただ、ひとつだけ気になっていることが。実は、イギリスのスーパーでは、夕方になると、賞味期限が迫っている野菜や果物が、よく値下げされます。

トマトなどは、「いくら安くなっていても、これはちょっと」というものもあるのですが、ジャガイモやリンゴなどは、私から見ると「まだ全然大丈夫!」というものばかりで、よく利用しています。

昨年末から、物価がとんでもなく上がっているイギリスでは、少しの値下げでもありがたい。ですが、賞味期限表示がなくなることで、もしかしたら将来的に、この値下げがなくなるのか!?というのが、私のちょっと気になっていることです。

まあ、賞味期限表示がなくなっても、鮮度が落ちたものを、ずっとお店に置いておくわけにはいきませんから、セールが全くなくなることはないでしょう。

ですが賞味期限の表示がなくなったら、いままで以上に、野菜や果物をしっかり見て、買うようにしようと思います。

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大の苦手科目だった英語を克服し、オーストラリアの大学院で博士号を取得(日本語応用言語学)、現在は英国の大学で教鞭をとる現役講師がお伝えする『私のIELTS英語学習法』。 IELTSのスコアを短期間でアップした経験談を始めとして、いろいろと試行錯誤を重ねてきた中で“これは効果があった”という方法、英語学習苦労話などなど、皆さまにこっそりお伝えします。また、イギリス日常生活の一コマもご紹介します。どうぞよろしくお願いします。

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