なぜ関東と関西で「たまごサンド」の中身が違うのか?勝手に考察してみた

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2022/10/08

四国の田舎から上京して早10数年。初めての関東生活では、さまざまなカルチャーショックを受けました。そのひとつに「食文化」があげられます。

例えば、東京ではうどん屋さんが少なくておそば屋さんばかり。しかもお稲荷さん(いなり寿司)のかたちは違うし、スーパーで4枚切りの分厚い食パンは売ってないし…(厚切りの食パンが好みなのです)。

筆者の行動範囲だけかもしれませんが、上京してからいろいろな異文化を感じたものです。そのなかでも、とくに関東と関西はこんなに違うのか!と驚いたことが。それが「たまごサンド(たまごサンドイッチ)」なのです。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

関西のたまごサンドは「分厚い卵焼き」が当たり前?

筆者(四国出身)が思い浮かべる「たまごサンド」image by:photoAC

たまごサンドといえば、西日本側に位置する筆者の地元・四国でも、たまごサラダが挟まれたスタイルであることが一般的でした。

ゆで卵を細かく刻み、マヨネーズや塩などで味付けした、あの柔らかいたまごサンドです。

関東でもこのスタイルが多く、場合によってはレタスやキュウリを挟んだりもしますが、卵だけでもたまごサンドは完成します。喫茶店で注文すると、お店によってはパンが焼かれていることもありました。

しかしながら、大学入学で同じく上京してきた関西出身の友人から「関西のたまごサンドの中は卵焼き」という話を聞いたのです。皆さんも、テレビ番組などで関西のたまごサンドを見たことがあるかもしれません。

関西のたまごサンドの特徴は、オムレツだし巻き卵、厚焼き卵を挟みます。パンもトーストする場合があるそう。

では、そもそもどうして関西と関東でたまごサンドのかたちが違うのでしょうか?都会に遊びにいくなら大阪だし、関西圏の味付けが好き!とはいえ九州の食文化にも影響されっぱなし!な四国出身の筆者が、勝手に考察してみました。(四国の一部の人は、自分たちは大きく分けると関西出身だと思っています)


考察1.そもそも、関西の卵焼きはパンにもあう味付けだから?

関西の「たまごサンド」image by:photoAC

そもそも「卵焼き」について、関東と関西で違いがありますよね。関東の卵焼きで主流なのは、濃口醤油とカツオだし、さらに砂糖を加えた濃いめの味付け。濃口醤油のため、やや茶色っぽい色あいに仕上がっています。

それに対して関西の卵焼きで主流なのは、薄口醤油にコンブだし、そしてみりんなど。透明度の高い薄口醤油を使用しているため、卵そのままな黄色い色味に仕上がっているのが特徴です。もちろん、家庭によって味付けは多少異なります。

筆者の母方の親族は関西地方の出身のためか、実家で食べる卵焼きといえば「黄色くて」「塩味とだしを感じる」もの。

しかし父方の親族は関東出身。たまに訪れる父方祖母の家で食べた卵焼きは「少し茶色」で「しっかり味付けの甘じょっぱい」もの。

関西の卵焼きといえば、ごはんのおかず!image by:photoAC

どちらもとても美味しい卵焼きですが、味わいには違いがありますよね。個人的には関東の甘じょっぱい卵焼きは、その甘さほっと一息つくような、「箸休め」に近い存在です。

一方で関西の卵焼きはだしやお醤油の風味を感じるため、まさに白いごはんにあう「おかず」。塩味やだしが効いている分、淡白なパンにもあいそうです。また関東の卵焼きに比べると薄味なので、パンに挟むときに味付けのアレンジがしやすいのではないでしょうか。

そして関東の甘じょっぱい卵焼きをそのままパンに挟むと「おやつ」感が出るために、主食のサンドイッチとしてはやや物足りない。だからこそゆで卵を潰してマヨネーズと和えたものがうけ、「たまごサンドといえば中はたまごサラダ」が関東では浸透したのではないでしょうか。マヨネーズも卵ですし。

ちなみに調べてみると、アメリカでは関東と同じたまごサラダを使ったサンドイッチが一般的みたいです。

考察2.関西人はふんわりボリューミーなものがお好き?

「長方形」の卵焼き器。image by:photoAC

また、調理器具である「卵焼き器」も、関東と関西で異なります。もともと関東では正方形関西では長方形が主流だったそう。いまでこそ全国的に長方形が主流になっているそうですが、器具にも違いがあったのですね。

関西風の長方形の卵焼き器は、自然に卵を巻く回数が増えます。そして使用する卵の数も多いそうで、その分だけ層も増えて中に空気が入るので、厚さも柔らかさも増します。

関西風の分厚くてフワフワとしたたまごサンドが生まれた背景には、こうした柔らかく厚みのある卵焼きをつくれる調理器具の存在もあったのかもしれません。

トーストされた分厚い食パン。image by:photoAC

そもそもこの分厚さふわふわもっちり感に関しては、卵焼きだけでなく食パンにも見てとれます。食パンの厚さも関東と関西で好みがわかれ、関西では「4・5枚切り」関東では「6・8枚切り」が主流なのだとか。

またコナモン文化が発展している関西圏では、お好み焼きのようにふんわり、それでいてガッツリ食べられる料理が人気です。

つまり関西ではずっしりと分厚かったりボリューミーなもの、ふわふわもっちりな食感好まれる傾向があるのかもしれません。

コンビニチェーン店でも必ず置かれているたまごサンド。そのポピュラーさから全国共通のスタイルがあるのかと思いきや、東西でこんなにも大きな違いがあるのは、意外な発見でした。もちろん、どちらも美味しいたまごサンドであることに変わりはありません。

最近では都内のコンビニでも関西風のたまごサンドが販売されていることもあるので、旅行せずとも気軽に雰囲気を楽しめます。

でもせっかくなら、関西へ旅行にいったときは「関西スタイルのたまごサンド」を、関東へ行ったときは「関東スタイルのたまごサンド」を、試してみてはいかがでしょうか。

  • image by:photoAC
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大学時代にドイツへ1年間留学。卒業後は旅行・グルメ・恋愛系のライターとして活動中。大好きなハンバーガーとビールのために、休日はボルダリングとヨガで汗を流す。

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