偽札、スマホ普及…なぜ中国で急速に「キャッシュレス」が普及したのか?
日本と中国は近くても似て非なる国同士。外見も言語も、一見して似てはいるものの、実際に現地に行くと、「ぜんぜん違う!」と思い知らされる点が多々あります。
中国は日本の約25倍もの面積があり、人口は10倍以上。そんな中国は、いまや世界をリードする「キャッシュレス」先進国です。
日本ではまだまだ現金支払いが主流でも、中国ではとっくの昔に小さな商店までキャッシュレス化。現金を出した瞬間、露骨に嫌な顔をされたことも。今回はそんな中国本土での支払い事情を紹介します。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
中国のモバイル決済は「支付宝」「微信支付」の2択
中国のキャッシュレスを象徴するのが「モバイル決済」です。自分のスマートフォン画面に表示されたQRコードを提示し、支払いを行います。
そのモバイル決済は、以下の2つ。日本の店舗でレジ横にステッカーが貼られているのを見かけたことがある人もいるでしょう。
Alipay(支付宝、アリペイ)
WeChat Pay(微信支付)
アリペイは、自分のアカウントにお金をチャージして使う、中国のキャッシュレス決済の先駆け的存在。
WeChat Payは、中国で人気が高いコミュニケーションアプリ「WeChat」に自分の銀行口座を登録して使うキャッシュレス決済です。それぞれ約10億人、約8億人もの利用者がいるとされています。
中国では、レジで支払うのにQRコードをスマホにかざすのが一般的。現金などもはや皆無、クレジットカードですらほぼ見かけません。そのため、中国では財布すら持ち歩いていない人すら多くいます。
キャッシュレス決済が急速に普及した中国ならではの「事情」とは
中国でモバイル決済が普及したのは、この5、6年です。しかも、1年ごとに訪中するたびに目に見えてどんどん普及し、気づいたら周りがみんなスマホで支払っていたという印象です。
しかしなぜ、中国でこんなにモバイル決済が急速に普及したのか。現地で中国人に聞いてみたところ、以下の理由が返ってきました。
- 偽札のリスク回避
- スマホの普及、スマホでのサービス増大
- あらゆる場面で手軽に導入できる
偽札のリスク回避
日本との大きな違いは「偽札」です。中国では現地の人でも騙されるというほど、偽札が多くあります。レジには偽札チェック機が置いてあるのをいまだ見かけます。
モバイル決済であれば、偽札の心配はありません。つまり「モバイル決済は現金より信用度が高い」ということです。
スマホの普及、スマホでのサービス増大
中国の携帯電話の契約数は、2011(平成23)年から2017(平成29)年の間に、約9億万台から45.3%増えて約14億万台となっています。
スマホだけで見ると2億台から10億7000万台と、5倍以上に増加。(情報通信政策所管当局、工業・情報化部公表「2017年通信事業主要指標」より)
近年すさまじい勢いでスマホの普及率が上がり、それに伴ってモバイル決済のサービスが拡大しました。
つまり中国人は支払う側も支払ってもらう側も、スマホに慣れる=モバイル決済に慣れることであり、モバイル決済の利用に抵抗がなく、それが急速に普及した理由の1つです。
あらゆる場面で手軽に導入できる
中国ではモバイル決済を導入するにもレジ横にQRコードを置くだけで、手数料も基本的にかからず、QRコードを読み取るための専用リーダーなども必要ありません。
スーパーやコンビニをはじめ、タクシーや屋台、募金まで、もはやどこででも「QRコード」を見かけます。路上でホームレスが物乞いをするのにQRコードを手に持っていたという体験談も聞きました。