日本は海外から「理想の国」といわれる反面…ゴミから考える異文化比較
「オープンダンプ」って何?
これまでは、ゴミが収集され、さまざまな方法で処理される国々の例を紹介しました。
しかし、ゴミの収集が行き届いている地域ばかりではありません。
世界銀行『What a Waste』最新版によると、低所得国では39%しかゴミが回収されていないと分かります。具体的な地域としては、サハラ以南のアフリカと南アジアの国々で目立って、ゴミの回収が遅れているようです。
それらの地域では、ゴミはどうなるのでしょうか。
まず、町に放棄されたり、海や川に捨てられたります。回収されたゴミも、処分場にそのまま捨てる「オープンダンプ(開放投棄)」が主流となっています。
しかも『What a Waste』最新版によると、世界で処理されるゴミのうち、なんと30%近くがオープンダンプで処理されているのだとか。
オープンダンプ型の処理場では、ゴミが飛散したり、ハエや蚊が繁殖したり、悪臭が発生したり、ゴミ山で火災が発生し大気を汚染したり、浸出水が土壌を汚染したりと、いろいろな問題が発生しているようです。
ある東南アジアの国を旅行取材していたとき、オープンダンプの処理場近くにある村に宿泊した経験が筆者にもあります。
バスで現地に降り立ったとき、その悪臭に最初、驚いてしまいました。生ゴミを放置したような悪臭が村全体に漂っていたのです。
すぐに鼻が慣れて、何も感じなくなりましたが、村の路上にもゴミが散乱し、お世辞にも美しい環境とはいえませんでした。
ところ変わればゴミの処理方法も変わる、そんな視点をもって世界を旅してみると、その国、その地域の見え方が余計に深まるかもしれませんね。
- 参考
- 一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について – 環境省
- Municipal waste, Generation and Treatment – OECD. Stat
- Municipal waste – OECD. Stat
- Environment at a Glance 2015 OECD Indicators
- Rankings – The Sustainable Development Report
- 一般廃棄物の排出量の動向 – 環境省
- ニュージーランド基礎データ – 外務省
- ニュージーランド オークランド市のゴミ事情 その1〜ゴミの分別〜 – DOWAエコジャーナル
- SINGLE-USE PLASTICS – 国連環境計画(UNEP)
- 「デンマークにおける家庭ゴミの分別」 – EURO-JAPAN COMMUNICATION
- ニュージーランドのゴミ問題 – NZ Daisuki.com
- 世界のゴミの現状を知る – JICA
- 開発途上国のゴミ処理-現状と課題、そして解決策- – 株式会社イーエヌツープラス
- OECD(経済協力開発機構) – 経済産業省
- 世界のゴミ処理方法を見てみよう~焼却orリサイクル? – 太田出版のWebマガジン
- What a Waste 2.0-World Bank
- 世界のゴミ焼却場の2/3が日本にあるって本当ですか?-学研
- ゴミ焼却施設が断トツに多い日本の不名誉 分別で家庭の生ゴミ資源化を-朝日新聞
- 一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について-環境省
- 「生ゴミは燃やすな」 焼却大国日本でゴミ処理の専門家が唱える異議-朝日新聞
- 日本のゴミ焼却処理は世界のスタンダードではない-ELEMINIST
- Vol.1 生ゴミは”ゴミ”ではなく“畑の宝”-ELEMINIST
- 参考資料2韓国の生ゴミリサイクルに関する情報-環境省
- ゴミの出し方-池田町
- <ロシアの素顔>汚染深刻 ゴミ分別挑む 広大な大地、埋め立て頼み-東京新聞
- 人口1位の中国、抱えるゴミ問題や現状は?-エコブレイン
- モスクワ郊外に新型の廃棄物処理施設が稼働、積年のゴミ問題改善へ-JETRO
- アメリカ環境保護庁、ゴミの埋め立てを回避する2018年WasteWise受賞者を発表-環境展望台
- ゴミ社会からの脱却~カナダの州に見る社会実験~
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