日本は海外から「理想の国」といわれる反面…ゴミから考える異文化比較
ニュージーランドは「埋め立て大国」
人口当たりのゴミの量が世界で最も多い国のひとつとして、アメリカを紹介しました。では、アメリカはどのようにゴミを処理しているのでしょうか。
OECDの環境統計データをグラフ化した2015年の資料によると埋め立てが主流で、焼却とリサイクルが当時のデータでは目立ちました。
単純な埋め立てが目立つ他の国といえば、カナダやオーストラリアなどがあり、OECD以外では、ロシアや中国で埋め立てが目立ちます。どこも広い国ですよね。国土の広い国に共通して、
<ゴミ埋立処分場は底のないゴミ容器であり、ゴミは無限に処分できる>(財団法人自治体国際化協会のレポートより引用)
と考えられる傾向が存在するみたいです。仕方ないのかもしれません。
しかし一方で、必ずしも国土が広くない国々でも埋め立てが主流になっているケースも少なくありません。
その最たる例は、ニュージーランドです。国土は日本の4分の3ほど。その狭い国で、2015年前後の段階ではほぼ100%のゴミが埋め立てられていました。
なんだかクリーンなイメージがあるニュージーランドで、ゴミが丸ごと埋め立てられていたと聞くとちょっと意外な感じがしませんか?
ニュージーランドはそもそも、ひとり当たりのゴミ排出量もアメリカに次いでG20のなかで2番目に多い国です。
さらに、ゴミの焼却システムを持たないため、「埋め立てる」か「リサイクルする」か、二択しか存在しない様子。結果「埋め立て大国」になってしまっているのですね。
もちろん、ニュージーランドでもゴミの埋め立ては問題視されていて、ゴミをゼロにする「Zero Waste(ゼロ・ウェイスト)」などのスローガンが掲げられ、先ほどのデンマークのように目標に向かって動いているみたいです。
しかし、OECDの環境統計データの最新情報を見ても、ニュージーランドのゴミの埋め立て量はほぼ変わっていません。
ひとり当たりのゴミの量自体も、2012年~2018年まで右肩上がりで増えています(その後のデータはなし)。
ニュージーランドに限らず、単純な埋め立てに頼っている国々は、埋め立て頼みの状況を脱しようとする動きが見られます。
中国では、都市によって、分別回収の徹底と浸透と共に焼却を採用する動きも目立っているとの話。
長らく、埋め立て頼みのゴミ問題が深刻化していたロシアでも、2019年から本格化した政府主導の「廃棄物改革」によって、状況は改善に向かおうとしているみたいです。
アメリカでも埋め立てを回避する動きがあり、カナダでも埋め立てに反対する動きが長らくあるみたいです。
ただ、単純な埋め立てを脱出するためには、かなりの意識改革とエネルギーが求められる様子。長年の暮らしの習慣を変えるにはどこの国も大変みたいですね。