ホンマはどっちが好きなん?大阪「キタ」「ミナミ」について地元民に聞いてみた
大阪に「キタ」「ミナミ」という2大エリアがあるのは、地元はもちろん旅行客にもおなじみ。『大阪でキタとミナミ、どちらが良いか?』という論争や答えなどは今に始まったことでなく、長年事あるごとに言われてきました。
実際のところ、大阪を語るのに、単に「キタ」「ミナミ」だけでは片づけられないものがあります。
そこで今回は、大阪生まれ大阪育ち、現在も大阪に在住する筆者が、旅行情報サイト阪急交通社によるアンケート結果を踏まえ、地元民ならではの本音も交えた「キタとミナミの違い」やおすすめのエリアなどをご紹介します。
大阪の「キタ」「ミナミ」の知名度はどのくらいある?
大阪における「キタ」とは、大阪駅・梅田エリアのこと。一方「ミナミ」は、道頓堀、心斎橋、なんばなどのエリアをイメージするとわかりやすいです。
まずは、大阪の「キタ」と「ミナミ」に関し、この呼び方に関する知名度をたずねたところ、およそ4分の3が「知っている」と回答しました。
ちなみに、大阪府在住者では94%が「知っている」と回答。大阪にちょっと住んでいれば、『キタ? あぁ、梅田のあたりね』と、たしかに誰もが知っています。
「キタとミナミどちらが好き?」 全国と地元で回答が違う理由
続いて、「キタとミナミ、どちらが好き?」という質問の回答。「ミナミ」29%、「キタ」22%と、ミナミに軍配が上がりました。
とはいえ、大差はありません。しかも「どちらともいえない」「わからない」が半数近く。キタとミナミ、それぞれどちらにも魅力がある一方で、不満もあることにほかならないと言えます。
一方、大阪府在住者に限って質問すると、「キタ」55%、「ミナミ」23%と圧倒的な結果に。
その理由として、「オシャレで落ち着いている」「洗練されている」「静かで大人の雰囲気がある」「治安が良い」などに加え、大阪駅が西日本最大のターミナル駅で「行きやすい場所だから」という回答も。
つまり、大阪に住んでいると、日常的には「キタ」を好む傾向にあります。
一方、全体の2割超しかいない、ミナミを好む人の理由。主に、「飲み屋が多く、美味しいグルメが多いから」「雑多な感じはあるが賑やかで楽しい」「ミナミの方が、浪速という感じがする。関西らしい感じがする」などが挙げられていました。
大阪らしさを求めるなら、圧倒的に「ミナミ」です。
「ショッピング」は〇〇、「グルメ」は〇〇とエリアで好みが違う
さらに、「ショッピング」「グルメ」「観光」「大阪らしさ」の各ジャンルで、「キタ」「ミナミ」どちらが良いかという質問への回答がこちらです。
「ショッピング」では「キタ」がやや優勢。一方、「大阪らしさ」では「ミナミ」が圧倒的というわかりやすい結果に。
大阪らしい観光が楽しめる場所、また大阪と言えば「くいだおれの街」と言われるグルメでも、「ミナミ」がキタより上です。
結果をおおよそまとめると、旅行客が楽しめるのは「ミナミ」、地元民が好むのは「キタ」と言えるでしょう。
大阪人が語る「ミナミ」の魅力、今は避けたい本音も…
大阪へ旅行に来るなら、まずは「ミナミ」がおすすめ。グリコの巨大看板など夜もギラギラに輝く道頓堀エリアが、最も大阪らしい光景が見られます。
お好み焼きやたこ焼きなど、老舗の人気店が多いのも「ミナミ」。大阪在住でも、お好み焼きやたこ焼きといえばキタよりミナミと、この界隈へ食べに行きます。
近年、訪日客にも人気の「551蓬莱」の豚まん、「りくろーおじさん」のチーズケーキ、黒門市場などもミナミにあります。ミナミからもう少し足を伸ばせば、通天閣があるエリアはさらにディープ。「串カツ」が有名です。
さらに、高さ300mの「あべのハルカス」がある天王寺もミナミから近く、実は地元民にとって『日常使いなら、なんば・心斎橋より天王寺のほうがコンパクトで、買い物も交通アクセスも便利』という一面も。
コロナが収束した現在は、外国人旅行客が増えてさらに混雑するミナミを、地元民があえて避ける傾向も感じられます。
ここ数年で一気に変わった「キタ」は大阪らしくない?
一方、「キタ」は近年、新たな開発がどんどん進行中。
JR大阪駅直結の商業施設「ルクア」「ルクアイーレ」や「グランフロント大阪」、ヨドバシ梅田にレストラン・カフェやショップ、ホテルなどが入る「LINKS UMEDA」も開業しました。JR大阪駅の南側にある阪急百貨店や阪神百貨店なども、リニューアルや建て替えが進んでいます。
数十年前のキタは、地下に立ち呑み屋があったり、地方の名産品を売るお店が並んでいたりと、ローカル感がまだありました。
しかし、大阪駅が今の駅舎にリニューアルされ、ヨドバシ梅田がオープンしたころから、一気に「洗練した街」へ変貌した感があります。あえて言うと、キタは「大阪らしさ」に乏しいエリアとなってしまいました。
大阪市内や大阪府北部の「北摂」地域に住む人々にとって、ゴチャゴチャした街のミナミより、キタのほうが居心地よいのも確か。
また、京都や神戸、姫路、さらに豊岡、鳥取、福井などの直通列車が大阪駅発着のため、地方在住者にとっても便利。東海道・山陽新幹線の新大阪駅も、JRだと1駅です。
旅行客はミナミがおすすめ、地元民が日ごろから心がけることは…
キタとミナミと言っても、大阪市内の中心を走るメイン路線、大阪メトロ御堂筋線でたった3、4駅と、10分ほどの距離です。すぐに着きます。
筆者は、生まれは大阪市南部の住之江区で、その後もほぼずっと大阪府南部。どちらかと言うと、ミナミのほうが慣れており、愛着もあります。
先述した通り、キタは2000年ごろを境にガラリと変わり、便利になった一方で、大阪らしさがどんどん消えていきました。
地元民は「買い物」「グルメ」「百貨店」など目的別に、日ごろからキタとミナミを使い分けています。『物価はミナミの方が安く、庶民的な店が多い』『贈り物をするなら阪急百貨店の包装紙が良い』などといった、地元ならではの事情も。
好き嫌いなど細かいことにこだわらず、「良いとこ取りする」のも大阪人の気質です。