天草は長崎県ではありません…天草を詳しく知るためのおすすめ旅ルート【前編】
みなさんは「天草」に行かれたことがありますか?関東在住の私にとって、同じ九州の中でも天草は遠く、潜伏キリシタンの歴史とも紐づいて、ちょっと未知のベールに包まれています。
そういえば、以前九州の友人が「東北って全然行ったことがないから憧れるの。いつか絶対行ってみたい!」とものすごくテンション高めに語っていたことがありますが、九州の人にとっての東北のように、関東人にとっての天草は憧れの遠い未知の地というカテゴリーがしっくりくるように思います。
今回はそんな天草の旅についてご紹介したいと思います。
天草ってどんなところ?
熊本県の南西、東シナ海に浮かぶ大小120余の島からなる諸島が天草諸島。諸島といっても天草市のある下島は面積にして約574平方キロメートル。
熊本県最大の島で、全国的にも本土4島(本州、四国、九州、北海道)を除くと8番目に大きく、正直島という感じはあまりしません。言うなら半島といったところでしょうか。
また同じように島という言葉から海のイメージで語られがちですが、山の自然がモリモリいっぱいでもあります。海と山の自然豊かな風光明媚な場所と表現するのが正しく、起伏に富んだ地形が数多くのドラマティックな景観を生み出しています。
アクセスは熊本空港から車で約2時間。もしくは福岡、熊本、大阪伊丹空港から天草エアラインに乗って天草空港まで行くことできます。
そのほか、ちょっと裏ワザチックですが、天草の下島観光がメインの場合は鹿児島空港から行くという選択もあり、鹿児島の長島から下島の牛深港へフェリーで渡ることもできます。
天草半島がなかなかの大きさのため、往復時間を有効に使いたい人は、熊本空港から入り鹿児島空港から帰る(その逆のパターンもあり)ルートもおすすめです。
世界遺産「潜伏キリシタンの里」
天草と聞けば誰もが思い浮かべる“天草四郎”の名にあるとおり、一帯は潜伏キリシタンの舞台として知られます。250年もの間、信仰心を守るため潜伏を貫いたという史実は、文字にするだけでも大変に驚異。個人的にはそこに潜む精神性に震撼とさせられ、思いを馳せずにはいられません。
江戸時代の国内情勢や、世界史における日本の立ち位置など、歴史を研究する上での重要性はもちろんのこと、この島の歴史、民俗文化を語る上で潜伏キリシタンの存在は欠かせません。島には潜伏キリシタン関連の史跡が点在し、天草観光のハイライトとなっています。
東シナ海を見下ろす丘の上に建つ「大江天主堂」は、真っ白なロマネスク様式が美しい教会。キリスト教解禁後、天草で最も早くに建てられた教会で、庭に佇むマリア像は“ルルドのマリア”をあやかったものだと言います。
島の南端に位置する鄙びた漁村「﨑津集落」の風景も実に味わい深く一見の価値あり。そこだけ異空間のように一際目をひくゴシック建築の「﨑津教会」や、高台の岩上からそっと海を見守る「海上マリア」の姿は実にドラマティック。
この「﨑津集落」は禁教期に仏教、神道、キリスト教が共存し、漁村特有の信仰形態を育んだ集落で、現在の「﨑津教会」は1934(昭和9)年フランス人宣教師ハルブ神父の時代に再建されたものです。
堂内は国内でも数少ない畳敷きで、日本における教会の歴史としても興味深いもの。特筆すべきは、教会が弾圧の象徴である絵踏みが行われた吉田庄屋役宅跡に建てられていることと、現在の祭壇が配置されているのが踏絵が行われたその場所だということ。
「﨑津集落」は2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の一つとして世界遺産に登録されているので、天草観光のマストスポットとしてあげられます。
<天草の潜伏キリシタン関連施設>
﨑津教会
禁教が解かれて約15年後の1888年に﨑津に建てられた教会。羊角湾のそばに建つことから「海の教会」と呼ばれています。
- 熊本県天草市河浦町崎津539
- 0969-78-6000(﨑津集落ガイダンスセンター)
- 無料
- 休館日:教会の事情により、臨時に休館する場合あり
- 9:00~17:00
- 熊本県天草観光ガイド
﨑津諏訪神社
1647年に創建されたと伝わる﨑津集落にある神社。禁教時代、潜伏キリシタンはこの神社の氏子となったと伝わり、現在神社からは﨑津教会と集落を一望することができます。
- 熊本県天草市河浦町崎津505
- 参拝自由
- 熊本県公式観光サイト
大江天主堂
キリスト教解禁後、天草で最も早く造られた教会。現在の建物は昭和8(1933)年にフランス人宣教師ガルニエ神父によって建てられたもの。
- 熊本県天草市天草町大江1782
- 0969-22-2243(天草宝島観光協会)
- 定休日:なし
- 9:00~17:00
- 熊本県天草観光ガイド
天草コレジヨ館
天草コレジヨの開校や日本初の活版印刷である天草本の出版など、16世紀以降に河浦の地に伝えられた南蛮文化の資料を多数展示する資料館。
- 草市河浦町白木河内175-13
- 0969-76-0388
- 最寄り駅
- 一般300円/高校生200円/中学生150円/小学生150円 ※団体割引あり(20名以上)
- 定休日:木曜(祝日の場合翌日以降の平日)/12月30日~1月1日
- 8:30~17:00(最終入館16:30)
- ホームページ
天草ロザリオ館
「大江天主堂」から5分の場所に位置する資料館。主に潜伏キリシタンの遺物を展示。
- 熊本県天草市天草町大江1749
- 0969-42-5259
- 一般300円/高校生200円/小中学生150円(天草玩具資料館も含む)※団体割引あり(20名以上)
- 定休日:水曜(祝日の場合翌日以降の平日)/12月30日~1月1日
- 8:30~17:00(入館16:30)
- 熊本県天草観光ガイド
天草市立天草キリシタン館
島原・天草一揆で使用された武器や国指定重要文化財の天草四郎陣中旗、キリシタン弾圧期の踏み絵などを展示する資料館
- 天草市船之尾町19-52(殉教公園内)
- 0969-22-3845
- 一般300円/高校生200円/小中学生150円
- 定休日:火曜(祝日の場合は翌平日)/12月30日~1月1日
- 8:30~17:00(最終入館16:30)
- ホームページ
天草四郎ミュージアム
キリスト教伝来と「島原・天草一揆」、天草四郎にまつわる資料を展示するミュージアム。
- 熊本県上天草市大矢野町中977-1
- 0964-56-5311
- 大人600円/中学生以下300円/幼児無料 ※団体1割引(20人以上)
- 定休日:12月29日~1月1日/1月・6月の第2水曜日
- 9:00~17:00(最終入館は16:20まで)
- 熊本県天草観光ガイド