飾られた大量のブラジャーが撤去できないワケ…ニュージーランドの奇妙な絶景
オセアニアに浮かぶ島国「ニュージーランド」。南島と北島で構成される縦長の国で、その国土は日本の3/4ほど。気候の異なる地域毎に、非常に豊かな大自然に恵まれているのが大きな魅力です。
数々の名所を撮影の舞台とした映画産業も大きく発展しているほど「絶景」に定評のあるニュージーランド。小さめの国土とは思えないほどのダイナミックな光景からユニークな動物たち、先住民族の織り成す文化まで、ニュージーランドの絶景をご紹介します。
神秘的な絶景から、奇妙な絶景まで勢ぞろい
モエラキ・ボールダーズ
6000年以上もの昔に形成されたと伝わる不思議な石が連なる「モエラキ・ボールダーズ(The Moeraki Boulders)」。自然が作り出したものとは思えない美しい球体で、半分が砂浜に埋まっている状態で佇んでいます。
神様や宇宙人が作ったものと言われても納得してしまうほど、ツルンとした見事な形状が特徴の石ですが、その素材は「亀甲石」と呼ばれる、水晶化した炭素とカルシウムが凝固したもの。
ニュージーランドの先住民族・マオリ族の間では「1,000年前に座礁した船から流れ着いたヒョウタン」という伝説も持つ丸い石たち。海岸というロケーションも相まって、時間帯に合わせて幻想的な絶景を堪能することができます。
スプリット・アップル・ロック
見た瞬間に「名前のままだ!」という声が上がるという「割ったりんごの岩」こと「スプリット・アップル・ロック(Split Apple Rock)」。南島・タスマン湾の沖に位置している巨大な岩石です。
岩の素材は花崗岩で、もともと円形だった岩の中に水が入り込んだまま氷河期を迎え、水が凍って膨張したことから割れたと言われているものの、分裂した詳細な時期は不明。マオリ族の間では、神々の戦いによって割れたというロマンに満ちた伝説があるそうです。
陸から50mほどに位置していることもあり、カヤックなどに乗って鑑賞することもでき、夏には泳いで岩へと向かう人も。海にぽっかりと浮かぶ姿は驚くほどファンタジックで、自然の神秘を感じずにはいられない絶景です。
タスマン氷河
ニュージーランドで最長の氷河として知られる「タスマン氷河(Tasman Glacier)」。ユネスコ世界自然遺産「アオラキ/マウント・クック国立公園」の中に位置しており、その長さは27km、幅は4kmにのぼります。
1975年ごろより形成され始めたという、比較的近年の氷河であることも特徴。冬季には50mもの積雪が見られ、氷河の最も分厚い箇所はなんと600m。ニュージーランド最高峰の「クック山」に沿って広がる姿はまさに絶景です。
世界でもたった3カ所でしか体験できないという「氷河ボートクルーズ」を楽しむこともできるのが魅力。雪山に囲まれた中に現れるブルーの氷山をはじめとした驚きの光景と共に、現実とは思えないひとときを味わえます。
テカポ湖
あまりにも美しいターコイズブルーの水をたたえる湖「テカポ湖(Lake Tekapo)」。氷河が岩石を砕き、その粉塵が水へ溶けたことによる色で、周囲に咲き乱れる花々と共に天国のような絶景の湖として知られています。
日中の美しさもさることながら、テカポ湖の真髄が現れるのは夜。およそ300人の町民たちが工夫と努力を重ね維持する、夢のような星空が現れます。その美しさは、世界で15カ所のみの「星空保護区」に指定されているほど。
現在では、世界遺産への東特へ向けて「準世界遺産」にも指定されており、時にはオーロラを鑑賞できることも。湖畔にはリゾートホテルや温泉「テカポ・スプリングス」もあり、星空観賞と共にゆったりとしたひとときを過ごすことができます。
ホビットン
北島・オークランドから車で約2時間ほどに位置する「ホビットン(Hobbiton)」。映画「ロード・オブ・ザ・リング」のロケ地として一躍有名になったこの土地は、羊たちが暮らす農場だったところを、映画の制作陣が空中からのロケハンを行って発見し惚れ込んだもの。
中心にそびえる巨大な木「パーティー・ツリー」をはじめ、撮影後も映画そのままの光景を維持。現在ではテーマパークのような家屋や花々の再現が行われており、ホビットたちと同じ食事を楽しめるレストランも併設されています。
充実したグッズがそろうお土産店もあり、ファンにはたまらないというだけでなく、どこまでも広がる美しい緑の農村風景が絶景。詳しい案内を聞きながら巡ることもでき、今ではニュージーランド観光で外せないスポットのひとつとなっています。
ブラ・フェンス
奇妙な光景としても著名な絶景「ブラ・フェンス(Bra Fence)」。その名称の通り、おびただしい数のブラジャーがフェンス状に吊り下げられたスポットで、1998年ごろに泥酔した女性たちが下げたことから始まったと言われています。
景観を損ねるという声や、わき見運転に繋がり危険という意見、さらに地主によって撤去されたり、泥棒が盗んだりして増減を繰り返しつつも完全な消滅には至らず、現在では数千枚とも言われる大量のブラジャーが並ぶ結果に。
撤去に至らない大きな理由として、ブラ・フェンスが乳がん撲滅の祈願スポットへと成長していることも挙げられます。珍百景といえるビジュアルながら、今もブラジャーをかけてゆく女性が後を絶たない観光名所です。
大自然の絶景を中心に、名作映画のロケ地から驚きの人工的な光景まで、バリエーション豊富なスポットがそろうニュージーランドの絶景たち。ゆったりとした時間と共に、日本では出会うことのできないダイナミックな光景を楽しめる世界へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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