いま韓国人になぜ、愛媛県が人気なのか?リピーターも多い納得の理由とは

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2024/06/29

愛媛県といえば、道後温泉やしまなみ海道、新鮮な魚介やかんきつのグルメなど、老若男女問わず観光で人気が高い場所です。「お遍路さん」の四国八十八ヶ所霊場でも知られます。

道後温泉本館(リニューアル前)2024年7月全館再開する image by:シカマアキ

その愛媛県はコロナ後、日本人のみならず韓国人の旅行者に、実は大人気。先日、愛媛県を訪れた筆者は、主な観光スポットや宿泊したホテルなどが、どこも韓国人旅行客だらけで驚きました。東京や大阪、京都、福岡などの都市部ならいざ知らず、地方都市はインバウンドの「差」がコロナ後、くっきりと出始めています。

なぜ愛媛県が、インバウンドに人気なのか。愛媛在住経験もある筆者が、他の地方都市にはないさまざまな「事情」を紹介します。

韓国から松山行き、LCCの飛行機が増便中

愛媛、松山空港。国内線が多いが、国際線もある image by:シカマアキ

まず、都市部ではない地方都市で、インバウンドが多い理由の1つが、国際線における「直行便」の有無です。直行便で行けるのと、経由でしか行けないのとでは、特に「短期滞在」「リピーター」が多い韓国や台湾、香港などだと、大きく違います。

松山空港の国際線、その就航都市は2024年6月現在、韓国の「ソウル(仁川)」「釜山」、台湾の「台北(桃園)」、中国の上海です。ちなみに、上海便は運休中。

韓国のLCC、チェジュ航空 image by:シカマアキ

韓国の格安航空会社(LCC)であるチェジュ航空が、ソウル(仁川)便を1日1~2往復で運航しています。地方空港の国際線は週3、4便というパターンはよくあるものの、毎日1往復以上、しかも週5日は1日2往復というのはなかなか珍しいパターンです。

チェジュ航空はコロナ禍で運休していたのを、2023年3月26日に約3年ぶりに、週3往復で運航再開。その後、週5往復、毎日1往復、さらに今、増便しています。LCCは、需要に応じて増便・減便を行うため、松山-ソウル線は非常に需要が高いことがうかがえます。

韓国のLCC、エアプサン image by:シカマアキ

そして、松山-釜山線は、2023年11月10日にエアプサンが新規就航。それ以前に、2023年夏にエアプサンはこの路線でインバウンド専用のチャーター便を運航していました。これが好評なのもあり、定期便を就航したと考えられます。

台湾大手のエバー航空。image by:シカマアキ

一方、エバー航空の松山-台北(桃園)線は、2024年3月6日、約4年ぶりに再開。週2往復で、桜の時期のみ週4往復に増便されていました。ただ、日本の他の地方都市より運航便の数などまだ多いとは言えず、今後の台湾人旅行者の動向次第でしょう。


1番人気のスポットに殺到する理由はあの映画?

道後温泉本館(リニューアル前)夜は特にフォトジェニック image by:シカマアキ

韓国人旅行客は、愛媛県でどこが人気なのでしょうか。韓国の大手旅行予約サイトに掲載されている、松山の主な紹介は以下の通り。

文化と歴史の中心地。温泉や寺社仏閣など日本の伝統に触れることができ、博物館で歴史が学べる。道後温泉本館は日本最古の温泉地で、かつて天皇も湯に浸かり、映画『千と千尋の神隠し』のインスピレーションにもなったことで有名。松山城は春にロープウェイで登ると桜の木々に囲まれ、ふもとの二ノ丸史跡庭園、隣接の東雲神社、石手寺や八坂寺なども見どころ。

日本はもちろん海外でも、愛媛、松山というとまず紹介されるのが「道後温泉」です。特に、道後温泉本館は歴史があるのに加え、海外でも有名なあの映画を彷彿とさせる建物。実際に入浴すると、さらにその気分が味わえるのも大きいでしょう。

松山城天守からの眺め image by:Shutterstock.com

また、松山城は、松山市の中心部にあります。城がある街は、もともと外国人に人気です。

一方で、四国八十八ヶ所霊場の寺は、愛媛県が最多で、松山市内に多くあります。過去に日本人のお遍路ブームもあり、観光客向けの整備がある程度されており、外国人も訪れやすいのもあるかもしれません。

空港からの交通アクセスと街めぐりのしやすさ

松山空港のバス乗り場。リムジンバス(手前)と路線バス image by:シカマアキ

空港というと、特に地方では「市内の中心部から遠くて不便」というイメージがあるのではないでしょうか。

しかし、松山空港は中心部から近いことで知られます。市内までの距離が約8.7kmであり、JR松山駅まで車で約15分、道後温泉まで車で約40分。空港~市内は、空港リムジンバスに加え、路線バスで行くこともできます。飛行機の発着に合わせた本数以上あり、万が一乗り遅れることを考えても、とても便利。タクシーでも距離が近い分、割安です。

松山市内を走る市内電車。奥にある山の上が松山城 image by:シカマアキ

また、市内中心部は路面電車が走っています。この路線網も分かりやすく、JR松山駅、伊予鉄松山市駅、道後温泉、ホテルなどが多い大街道などを網羅しています。

最近、「Suica」「ICOCA」などの交通系ICカードが、空港リムジンバスと路面電車で利用できるようになりました。現金払いでなく乗れるのは、日本人だけでなく外国人の旅行客にも便利です。


宿泊先はビジネスホテルから高級温泉旅館まで

松山市中心部。ホテルも多くある image by:シカマアキ

松山の中心部にはホテルも多くあり、しかも、大型のシティホテルからビジネスホテルチェーンまでそろっています。しかも宿泊代金は、東京や大阪などの都市部よりも割安です。

もう少しリッチな気分で滞在したいなら、道後温泉の旅館があります。1泊2~3万円する温泉付きの名旅館では、日本式の夕食と朝食も付き、満足度はかなり高そうです。道後温泉本館に加え、椿の湯、飛鳥乃湯泉など、道後エリアの湯めぐりも楽しめます。

郊外のスポットも人気、映えスポットにも韓国人

JR下灘駅。晴れた日の夕方は特に美しい image by:Shutterstock.com

松山以外で人気のスポットは、しまなみ海道や島々が一望できる「亀老山展望公園」(今治市)、大洲の桂離宮とも言われる別荘「臥龍山荘」(大洲市)、「今治タオル美術館」「今治城」(今治市)など。

一方、筆者が2024年6月に訪れた「JR下灘駅」(伊予市)は、日本人よりも韓国人の多さにまず驚きました。団体ではなく、個人の旅行客です。

JR下灘駅は無人駅のため電車の本数は少ない image by:シカマアキ

JR下灘駅は、「青春18きっぷ」のポスターに数回採用されて有名な、伊予灘がホームからよく見える無人駅。「日本一海に近い駅」との呼び声高く、もともと眼下の海に沈む夕陽も美しいから写真映えすると、日本人にも人気でした。

写真映え抜群な駅からの絶景 image by:Shutterstock.com

それがいまや、韓国人旅行客が訪れる一大人気スポットとなっています。駐車場もあるものの空いていて、ホームで帰りの電車を待つ韓国人旅行客のほうが、よく目につきました。

おそらく韓国のSNSで「絶景」「写真映え」と紹介されて口コミで拡散されたのかもしれません。年代ももちろん若い男女です。

さらに、愛媛県内のゴルフ場でも、韓国人の利用客が増えています。韓国人にとってゴルフはステイタスであり、愛媛以外でもゴルフリゾートが多いことで有名な宮崎も人気です。円安での割安感、その割に日本のゴルフ施設のレベルの高さなどもあるのでしょう。

地域ごとのご当地グルメの豊富さと「かんきつ王国」

愛媛の鯛めし。炊き込みと刺身があり、地域によって違う image by:Shutterstock.com

愛媛のグルメといえば、「鯛めし」が挙げられます。松山を含む以北は鯛の炊き込み、以南は刺身で味わうのが一般的です。

今治のローカルグルメ、焼豚玉子飯 image by:シカマアキ

また、松山には「鍋焼きうどん」「三津浜焼」、南部の八幡浜には「八幡浜ちゃんぽん」、今治には「焼豚玉子飯」などのローカルなグルメもあります。「じゃこてん」「せんざんき」なども、愛媛ならでは。

さらに、瀬戸内ならではの魚介類、いよかんやみかんなど柑橘類が多い「かんきつ王国」でも知られます。お土産では「タルト」「母恵夢」「坊ちゃん団子」などあり、これもご当地色があります。

訪日リピーターは都市より地方へ広がっている

道後温泉駅前の「坊っちゃんカラクリ時計」 image by:シカマアキ

韓国人などの近場のインバウンド客は、2、3日のみの滞在で、何度も訪れるリピーターが多くいます。特に、韓国は国内旅行先が少ないのもあり、最も近い海外である日本は「国内旅行」の感覚です。

そして、日本を繰り返し訪れるにつれ、都会よりもより日本らしい地方を訪れたくなるのでしょう。コロナが明けた直後、韓国からの直行便は東京や大阪など都市部のみでしたが、今は地方便も徐々に再開し始めています。

インバウンド客に来てもらおうと、日本の地方から誘致合戦が行われています。その中で、直行便がデイリー運航で、街がコンパクトで動きやすい、グルメも景色もいろいろ満喫できる愛媛そして松山は、韓国人が旅のしやすさ、楽しみやすさなどを知り、その魅力をさらに拡散しているため、増え続けていると考えられます。

  • image by:Shutterstock.com
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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ジャーナリスト・フォトグラファー。飛行機・空港、旅行、ホテル、グルメなどをメインに、国内外で取材、撮影などを行う。雑誌やWEB向けの記事、写真や旅行などのセミナー講師も務める。元全国紙記者。大阪在住。

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