余った人生で世の中を助ける…リタイア世代の「街おこし」成功例
行政の支援事業公募には敏感に
場所がなくては始まらないと、とりあえずは桑原さんが店舗を確保。内装の工事は建築士のメンバー、提供する料理やサービスは老舗料理店を経営するメンバーなど、仲間の協力で作り上げました。そして、経済産業省の「市民ベンチャー支援事業」に応募してみたのです。
す ると、全国333件もの応募の中から13件が選出され、その中に桑原さんたちの活動も入っていたのです。このことが活動の後押しとなり、同年12月、「よろずや余之助」は正式にオープンしました。計画から実現まで、わずかに8カ月というスピード設立。あの採択がなければ、スタートはもっと遅くなっていたこ とでしょう。
ちなみに、「よろずや余之助」の名前には、余った(残りの)人生で世の中を助けるという意味を込めたそうです。
メインとなる活動は喫茶事業の「余之助茶屋」。ヘルシー献立を提供するランチタイムが人気です。また、薫り高いコーヒーも自慢。
歌声喫茶やライブコンサー トなどのイベントも定期的に開催し、福祉・医療関係の講座も企画しています。さらに、知的障害者養護施設やシルバー世代が作る手工芸クラブの手作り商品、 健康食品や書籍類、介護用品などを置いて、販売事業の売上アップも図っています。
よろずや余之助の名前の由来であるよろず相談事業は、弁護士、税理士、一級建築士、社労士、行政書士、栄養士、パソコンインストラクターなどの資格を持つメンバーが相談役を交代で務めています。店舗の一角には、 地域のボランティアやサークルなどが会合場所として無料で使えるスペースも設置しました。
こうした活動が認められ、2003年と2004年には、群馬県の「コミュニティビジネス支援事業」に採択され、経済産業省の「市民活動活性化モデル事業」としての認定も受けることができました。
この例のように、リタイア世代の活動への行政の期待は思いのほか大きいのです。ただ、彼らが活動を始めた2002年頃は団塊世代の定年退職に向けて、地域社会の活性化と引きこもりの防止などを目的に、行政がリタイア世代の地域活動推進に力を入れ始めた時期でした。まだ、そうしたグループは団体も少なかったた め、彼らはラッキーだったともいえます。
しかし、市民に向けたこのようなサポート政策は今も継続しています。こうした情報を逃さず取り入れて、上手な展開を図ることも必要な活動計画の一つではないでしょうか。
- source:NPO法人 よろずや余之介
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