美しき舞にうっとり。京都の春の風物詩「都をどり」と「京おどり」
風情あふれる古都・京都。桜が咲き誇る春になると、各地ではさまざまな魅力あふれるイベントが開催されています。
2020年は新型コロナウイルスの影響で中止・延期になったイベントもありますが、今回は写真で楽しめる京都の風物詩をご紹介していきます。
祇園甲部「都をどり」
「都をどり」の観覧は、花見小路を歩いて祇園甲部歌舞練場へ向かうときから始まります(現在は改修中で、今年は南座で開催を予定するも中止を発表。「北野をどり」と「京おどり」は延期を発表も日程は未定)。
祇園甲部の紋章が入ったかわいいぼんぼりが、京町家のお店の軒先のいたるところに吊るされていて都の春を感じることができます。
今春は京都の春のをどりが見れない可能性が高いので、代わりにその魅力をお伝えします。
甲部歌舞練場は建仁寺の北門のすぐ側です。祇園というにぎやかな場所と、京都最古の禅寺、禅の聖地である「建仁寺」に挟まれています。歌舞練場に入ると、その年に舞妓さんたちが着るあざやかな青色の総をどりの衣裳と帯が展示されています。
この着物は祇園甲部の芸舞妓さんが、都をどりのときだけに着る着物です。着物は手描き友禅、帯は西陣織でいずれも京都の伝統の技で作られ、毎年新調されます(毎年同じもののように感じますが、柄などをよく見ると、毎年違うことに気づきます)。
お茶券つき特等観覧席のチケットを購入すると、目の前で舞妓さんによるお点前(てまえ)を見ることができます。
お茶席の準備ができるまでの待ち時間は、歌舞練場内の庭園を散歩することもできます。季節の花や木々、池や茶室など自然あふれるたたずまいが心地良い伝統的な日本庭園です。
お茶席では芸妓さんによる立礼式(りゅうれいしき)のお点前のようすを見ながら、お菓子と抹茶がいただけます。立礼式とは、いすに座ってテーブルの上でお点前をする様式です。
運が良ければ、お点前を披露した舞妓さん自ら運んできた抹茶をいただけるかもしれません。お菓子と抹茶をいただいたあと、団子皿は記念品として持ち帰ることができます。売りものではないので、とても貴重な思い出の品となりますよ。
「都をどり」の起源は?
都をどりは明治維新後、首都が東京に移り、京都が衰退していく時期に始まりました。京都市は当時、京都の街にもう一度活気を取り戻そうと京都で初めての博覧会を開催しました。
そのとき余興として万亭(いまの花見小路にある一力茶屋)の杉浦次郎右衛門と、京舞井上流の井上八千代が企画したものでした。当時京都府知事だった槇村正直が作詞をし、振り付けを3世井上八千代が担当しました。1872(明治5)年3月13日~5月末までの80日間7組7交代制で出演したそうです。これが都をどりの始まりです。
翌年に行われた第2回からは、花見小路に新設された歌舞練場で開催され以降毎年春に開催されるようになりました。それから今日まで都をどりは大成功。国内はもとより海外からもチェリーダンスとして人気を博しました。