パワーみなぎるメイドインジャパン。重森三玲による庭園の魅力
画家で作庭家として知られる重森三玲は、茶の湯や生け花、建築や工芸にも精通していました。今回は重森三玲が作った京都にある名庭をご案内します。
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独学で身に着けた重森三玲の作庭は海外でも名の知られるほどに
重森三玲作庭の庭園はほかの日本庭園には見られないような力強く、モダンな造りとなっています。日本最古の方丈建築の建物「東福寺」の龍吟庵の三方に、重森三玲が作庭した3つの庭があります。東福寺は臨済宗の禅寺です。塔頭のひとつである龍吟庵に作られた庭はすべて枯山水庭園です。
日本庭園は大きく分けると3つに分類されます。「浄土式庭園」「枯山水庭園」「露地(茶庭)」の三種類です。
平安時代に発展した「浄土式庭園」は、池を中心に配して仏教的世界を表現したもので、「池泉回遊式庭園」とも呼ばれます。有名な例は、宇治平等院鳳凰堂の庭園などです。10円玉に刻まれていますよね。
一方「枯山水庭園」は室町、鎌倉時代に禅宗のお寺に作庭されたものです。座禅や瞑想にふさわしく、とても簡素なしつらえなのが特徴的です。龍安寺の石庭や重森三玲が作庭した東福寺の龍吟庵は、まさにこの代表例です。
そして「露地(茶庭)」は茶室に行くために作られる通路のことです。表千家や裏千家の路地が代表的です。
重森三玲が龍吟庵に作った「無の庭」は、右手の竹垣に稲妻が描かれています。「無の庭」に起こった稲妻は雨を降らせ、その側にある西の庭では海中から龍を引き寄せています。
庭いっぱいに配された青い石組みが表現しているのは、龍が暴れる姿なのだとか。白砂は海を、黒砂は黒雲を表す構成です。曲線が龍の猛々しさを感じさせます。ほかの枯山水庭園とはひと味違う趣きがとても新鮮ですね。
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