戦国武将の「鉛筆」も。文具の歴史がわかる浅草橋「日本文具資料館」

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2016/10/04

東京の浅草橋にある「日本文具資料館」をご存知でしょうか。筆記具類を中心に年季の入った「カシオ計算機」、「矢立」と呼ばれる携帯筆記具など、現代ではかなり珍しい昔の文具がたくさん展示されている資料館なんです。

しかも、公開時間は平日の3時間のみ! 興味がそそられてきましたか? では、奥深い文具の歴史を覗いてみましょう。

文具好きにはたまらない!歴史を辿る「日本文具資料館」

某展示会のため、お初の浅草橋へ降り立ちました。それまで浅草橋の名前は何度も聞いていて、知っていたのはこんなこと。

アクセサリーを作る材料の問屋さんが立ち並んでいる。川下りの屋形船を出す船問屋がある。そして、庶民が親しめるグルメなお店が多い。

しかし、そんな「ザ・下町」っぽい浅草橋で見つけたのが、「日本文具資料館」なるもの。

都営浅草線とJR総武線「浅草橋」駅から徒歩約5分。東京文具販売健保会館の1 階にあります。入場無料。受付で名前を記し、入館。

すると中学生と思しき修学旅行生ご一行がちょうど出てきたところ。受付の方によると、旅行中のグループ研修として来館する生徒が多いそうです。

いざ、中へ。ここでは筆記具を中心とした文具の数々を効果的に展示&保存のため、照明が落としてあります。

PIC_0098 (1)

さて、入り口を入ってすぐ、目に飛びこんできたのは『漢委奴国王』と刻まれた金印。レプリカですが、ゴールドの輝きが薄暗い展示室で燦然と輝いています。


古代の筆記具伊達政宗や徳川家康の鉛筆(レプリカ)、電卓のもととなったカシオリレー式計算機が展示されています。

かつて戦国武将が使っていた鉛筆のレプリカ
カシオリレー式計算機

個人的に大変関心を持ったのが「矢立」(やだて)。みなさん、矢立ってご存じです? 「やだて」という文字を言葉だけだったら、的を目指して射る「矢」を連想されるのでは?

鎌倉時代から存在した「矢立」

実は矢立とは、筆と墨壺を1つにした日本生まれの携帯筆記具なんですね。その名前の由来は、鎌倉時代にさかのぼります

出陣する武士が携帯する筆、墨、硯、小刀などのことを「矢立の硯」と呼んでいたそうで、それが略されて「矢立」になったそうです。筆と墨が一体となっている点は「筆ペンの祖先といったところでしょうか。

「矢立」が全盛期を迎えたのは江戸時代。材質も鉄、銅、金、銀から鹿角、象牙、そして竹や漆、木、陶などが使われ、 彫刻や蒔絵を施した矢立も登場。もはや文具の域を超え、工芸品として扱われるようになったそうです。

今夏、「ポケモンGO」で注目を集めた任天堂は花札から出発した会社なんですよね。

これは貴重!任天堂の看板

ゲームのなかった昔は、花札やカルタ、トランプ、百人一首などの「札」遊びが一番の娯楽だったのだろーな・・・と、任天堂の看板を見て想像しちゃいました。

インク瓶や万年筆などもアンティークでいい味を醸しています。

アンティークもののインク
デザインが派手目な万年筆も

迫力のある大筆は50頭の馬の尾の毛から作ったもの170cm、14kg。しかし、果たしてこの筆を持ち上げる自体、出来るのかしら?

14kgの重さがある超大筆

鉛筆や鉛筆のかけ紙なども展示されています。

今は滅多に使わなくなった鉛筆。懐かしい柄が
様々なデザインがある鉛筆の懸紙

今、鉛筆なんてほとんど買いに行かないけど、昔はHBや2Bだとか、子供ながらに書き具合にこだわったもの。

1時間もあれば十分見てまわれる資料館では、ランドセルを背負っていた頃が懐かしく思い出されました。

あの頃はお化粧やファッションには手が届かない年頃だから、文房具で個性を出していたっけ。

展示物は石盤や硯パピルスそろばんペーパーナイフホチキスなども。

PIC_0089 (1)

開館時間は平日の午後1~4時と、会社員が行くにはちょっとキビシイ気もしますが、機会があればぜひ。

image (2)

資料館を出ると、空の青さがいっそう眩しく感じられるはず。お天気が良ければ、浅草橋名物の川面で待機する屋形船を見ながら散策するのもよいし、浅草方面へ川沿いの道をウォーキングするのも楽しいかも!

日本文具資料館
東京都台東区柳橋1-1-15
(東京文具販売健康保険組合会館1F)
TEL 03-3861-4905
    交 通     JR総武線「浅草橋」下車:徒歩5分
都営地下鉄「浅草橋」下車:徒歩5分
    開館時間     午後1時から午後4時まで
    休館日     土曜・日曜・祝祭日 12月28日から翌年1月5日
    観覧料     無料

  • image by:御田けいこ
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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人生の設定は「いつでも、どこでも、食いしん坊バンザイ!」。人に会い、土地を歩き名物にふれ、郷土の味をあじわいつくす、をテーマに今日もどこかを踏みしめ歩いています。広島県生まれ。

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