何もない贅沢。沖縄最北の地にひっそり存在する隠れ宿「空の間indigo」
例えるなら、この場所と人間の世界と繋ぐ管理人のようなもの
森の自然があって、澄んだ湧き水が流れ、目の前に海が広がるこの環境は自然が好きな人にとっては最高の場所です。
西海岸のリゾートエリアのような真っ白な砂浜のビーチとは異なりますが、ここには魚影が濃く、潮の満ち引きで毎日大きく姿を変える沖縄らしい海が広がります。
夜ともなれば降るような星空が映り、夜闇の中でうごめく虫たちや森の生命体に圧倒されます。この場所に立っていると、本来世界は自然のエネルギーに満ちあふれ、人間もまた自然のエネルギーの中で営みを続ける生きとし生きるもののひとつだということが五感でわかるのです。
もともと、電気もガスもない時代、沖縄の人々はこの深く濃い自然の中で常に自然に宿るエネルギーと呼吸を共にして生活を営んできました。
そのため、沖縄には本当にたくさんの神様がいて、人々は今でも自然や日々の生活の中でのあちこちに宿る神様たちと共存しています。
「ここに来て何か特別なものを感じる人もいればそうでない人もいて、それは本当に人それぞれ。私たちは、ここを訪れた人が個々の感性で時間を過ごしてくれればよいと思ってこの場所を提供しているので、この場所が気に入ってくたらそれでいいし、気にいってくれなかったらそれもまたそれでいいんです」
人の生活からずっと放置された土地となっていたこの場所を、人が歩く場所へと整えるために何かに呼ばれてここまでやって来た望さんと、開かれたその場所へ同じように吸い込まれるようにやって来た憲二さん。
お二人は自分たちのことを例えるなら“この地と人間の営みとを繋ぐ管理人や門番のような役割”だと言いますが、実際にここの空気に触れると、なんとなくその言葉の意味が理解できる気がします。
そんな「空の間indigo」での過ごし方は、訪れたゲストそれぞれ。やんばる観光の拠点にするのはもちろんですが、2、3泊して気の向くままゆっくり過ごすのにぴったりな場所。
あまりにもこの空間が気に入り、何をするわけでもなく本当に暮らすように2週間ほど滞在して帰っていく人もいるそう。
「ここには何もないけれど、すべてがあるんです」と言うオーナー夫婦二人の言葉がこの地での暮らしの豊かさを物語っています。
もちろん、ここは都会のホテルでもなければリゾートでもない山原。この言葉を聞いて、気にいるかどうか気になる人は、ぜひやんばるの端っこ「空の間Indigo」を一度訪ねてみることをおすすめします。
- image by:小林繭
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