こんな世の中、絶対イヤだ。岐阜県関市の名産PR動画が切り込みすぎ
ジモココでもご紹介した宮崎県小林市の思わず騙されたPR動画や、佐賀県佐賀市の見えない世界遺産動画など、いま地方PR動画のクオリティの高さが話題となっています。どれも驚きや面白さ、ちょっと自虐的な展開の動画が多い中、思わず悲鳴をあげてしまいそうな地方制作PR動画が話題となっています。
もしもこの世界に、アレがなかったら…
岐阜県関市が公開した音楽だけの無言の動画。なんの変哲もない家庭のキッチンから始まり、食事を作るお母さんとおままごとをする子供。和やかそうな風景ですが、なんだかおかしいんです。この世界…何かが足りないんです…。
狂気の眼差しで野菜をチョップで切ろうとする主婦。
涙をうかべながらガムテープで髭を抜こうとする男性。
突然歯をむき出して客の髪を噛みちぎる美容師。
握手会に来たファンに長い爪を突き出して笑顔をふりまくアイドル。
ウェディングケーキに拳を叩きつける新郎新婦。
これは一体なんなのでしょうか…。
関市は日本一の刃物のまち
動画を最後までご覧いただいた方はおわかりのとおり、この動画の世界に足りなかったもの、それは「刃物」です。野菜を切る包丁、ヒゲを剃る髭剃りの刃、髪をカットするハサミ、爪切りなど、刃物がまったくない世界を動画で表現したのは日本一の刃物のまち、岐阜県関市です。刃物は使い方を間違えると危険なものになりますが、刃物がないと人間がこんなに恐ろしく見えるなんて…!
ところで岐阜県関市が、700年以上の伝統を持つ刃物のまちということを知っていましたか? 今回関市がこの動画を作るきっかけは、関市が「日本一の刃物のまち」という認知度向上のためなんだそうです。
岐阜県関市に刀鍛冶が誕生したのは、遡ること鎌倉時代。刀祖「元重」がこの関の地に移り住み、刀鍛冶を始めたことがきっかけと言われています。刃物の製造に必要な良質の焼刃土と炉に使う松炭、そして長良川と津保川の良質な水という、刀を作るために理想的な環境が整っていた関市には、自然と多くの刀匠が集まりました。
「折れず、曲がらず、よく切れる」と言われた関の刀は、その名を全国に広め、戦国時代には、武将の間で愛用されたと言います。今では関市は日本一の刀の産地として、伝統技能と匠の技が受け継がれ、そして今や世界でも有数の刃物の産地として知られるまでになりました。
刃物まつりで関市のスゴさを体験
刃物日本一のスゴさがわかるものとして代表的なのが10月10日から関市で行われる刃物まつりです。関鍛冶の始祖である元重の遺徳をしのび、まちをあげて行われるお祭りです。
関駅と刃物会館前駅の間を通る本町通りをメイン会場に刃物大廉売市が行われ、市内では古式日本刀鍛錬や刀剣研磨等外装技術の実演、居合道の据え物斬りや抜刀術の実演、刀剣展など、日本一の刃物のまちだからこその催しが行われます。
開催日:2015年10月10日〜11日
場所:本町通り商店街、その他関駅、刃物会館前駅周辺
動画を見て「刃物がない世界なんて考えられない!」と感じた方、ぜひ刃物まつりにも行ってみてはいかがでしょうか?