地元民も知らない秘密の鎌倉。たからの庭で創作和菓子・陶芸を体験
ー 不動の人気 ー 鎌倉の町を見ていると、そんな言葉が思い浮かびます。日本人はもちろん最近は外国人観光客の増加で、平日の午前中でさえ「一体どこからこれだけの人たちが湧いてきたのだろう?」と思うほど町は多くの観光客の姿であふれます。
ところが、そんな鎌倉でもメイン通りから一本裏通りを選んで歩いてみると、途端に人気も少なくなり、しっとりと薫る寺町本来の雰囲気を楽しむことができるのをご存知でしょうか?
今回紹介する「北鎌倉 たからの庭」は、昔の鎌倉の姿がそのまま残る場所。初めて訪れた人は、地元の人でもこんなところがあったの!?と驚きます。
山奥に広がる、古き良き鎌倉の原風景
北鎌倉の駅から徒歩10分、浄智寺の谷戸にひっそりとたたずむ「たからの庭」は、古民家を再生したアトリエ・シェアハウス。細長く続く石畳が庭への入り口です。土と緑の匂いに包まれながら小径を登っていくと、山の中に突然開けたような空間が広がります。
裏山を背景に四季折々の自然に満ちたその庭は、日本昔話に出てきそうな水彩画で描かれた山里の風景。まるで、どこか人知れぬ山間の集落に紛れ込んでしまったようで、ここがあの人気の観光地、鎌倉であることはちょっと信じられません。
古い町である鎌倉には多くの古い建物が残り、貴重な文化財であるそれらをできるだけ壊さずに保存しようという動きが活発です。
「古民家なんて素敵! ぜひ住みたい!」と思う人も少なくないと思いますが、敷地も広く、維持するための手入れに手間がかかる古い家を個人で所有するのはなかなか大変なこと。
そこで商業施設としてリノベーションしたり、NPO団体がコミュニティスペースとして活用するという方法が多く取られているのです。
「たからの庭」も、戦災を免れた鎌倉の古民家を大切にしたいと古民家維持活動に取り組む非営利団体「鎌倉古民家バンク」によって作られたコミュニティスペースのひとつ。
昭和を残す古民家で、ハンドメイドのぬくもりに触れる
鎌倉時代に拓されたとおぼしき400〜500坪ほどもある敷地は、おそらくもともとは浄智寺の僧侶たちの修行の場であったのでしょう。
現在は昭和に建てられた和洋折衷の母屋を中心に、陶芸の薪窯もある離れや底深い井戸が点在します。
リノベーションした古民家スペースや陶芸窯は、普段シェアアトリエとしてアーティストやものづくりに携わる方々に使われています。
母屋にはギャラリーが併設され、ここをアトリエとして使う作家さんたちの作品展示や、敷地内にある小さな小屋で作られるオリジナル燻製チーズなどの販売も行われています。
コーヒーやワインもいただけるので、一般の人が庭でのんびりとくつろぐために、ふらりと訪ねてくるということも多いのだとか。