台湾は元気でやっています。一青妙さんも応援している思い出の「花蓮」

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2018/03/21

伝統的な花蓮の味「ワンタン」

伝統的な花蓮の味といえば「扁食」を挙げたい。中国の福建省で使われている言葉で「ワンタン」のことだ。花蓮市に行ったなら、まず扁食を食べなさいと台湾の友人から言われていたので立ち寄った。

有名店は「液香扁食」と「戴記扁食」で、この2店も近接している。もともとワンタンはそこまで好きではない方だったが、ここのワンタンは素直に美味しいと思えた。サイズが大きかったり、特殊な餡が入っていたりするわけではない。つるっとした皮と、ほどよい味付けの豚肉のバランスが絶妙で、決め手はスープ。クリアなスープにセロリと揚げた葱が少し浮いているだけなので、味が薄いと思って飲んでみたらびっくり。何時間も煮込み、とびきり手間をかけたコンソメスープのように、まろやかでこくのある味が口に広がった

どちらの味も甲乙つけがたいが、実はどちらの店も初代店長は同じ人物で、後に暖簾分けをしたのだという。戴記扁食は、故・蒋経国前総統が花蓮を訪れたときに必ず立ち寄る店として知られている。

 

戴記扁食
住所:花蓮市中華路120号
Tel:03-835-0667
営業時間:8:00~21:45

液香扁食
花蓮市信義路42號
(03)8326761
営業時間:10時〜21:50頃まで (売切れまで)

 

小籠包と蒸し餃子がセットで楽しめる人気店

さらに「セット」の有名店がある。小籠包と蒸し餃子で人気の公正包子」と「周家蒸餃」だ。

公正包子

隣同士の二軒の店頭には、幾重にも重ねられた蒸篭と、忙しそうに皮に肉餡を包むスタッフたち。メニューは2店舗ともほとんど同じ。「小籠包」と書かれているが、鼎泰豐で有名な薄皮でスープたっぷりの小籠包ではなく、こぶりのプチ肉まんのことだ。メニューには、水餃子や蒸し餃子もある。味としては、包子は公正包子で、蒸し餃子は周家蒸餃に軍配をあげたい。

 

公正包子
住所:花蓮市中山路199-2號
営業時間:6~19時

周家蒸餃
住所花蓮市公正街4-20号
営業時間:24時間営業

 

予約の取れない、創作中華料理店

花蓮市内隣接の吉安郷にある「銘師父」は、宜蘭出身の有名シェフが花蓮の食材に惚れ込んで開いたレストラン。

銘師父

野菜は全てレストランの敷地内で有機栽培されたもの。味はもちろんだが、見た目にも美しい創作中華料理で、予約なしではなかなか入れない人気店だ。

 

銘師父
花蓮縣吉安郷太昌村明義6街38巷22号
営業時間:ランチ/11:30~14:00  ディナー/17:30~21:00

 

「しじみ狩り」ができる体験型レストラン

市内からもう少し離れた寿豊郷には「立川漁場」という体験型のレストランがある。体験できるのは「しじみ狩り」だ。台湾のしじみは、日本の黒いしじみと違い、黄緑がかった色をしていてやや大きい。実もおおぶりで肉厚だから食べ応え十分。立川漁場はしじみの養殖場で採れたてのしじみ料理を存分に食べられる。新鮮なしじみをバジルでさっと炒めた「炒蜊仔」はいくらでもお腹に入っていく。シジミを実際に触れる池もあるシジミテーマパークだ。


 

立川漁場
住所:花蓮県寿豊郷共和村漁池路45号
営業時間: 8:00~19:00

 

鳳林、瑞穂と花蓮市街から南下した町にも、昔ながらの素朴なかき氷やフレッシュなレモンジュースで有名な「明新冰果店」や新鮮な野草をたっぷりと使った鍋料理が楽しめる瑪卡多庭園咖啡」など、ポツンポツンとおいしいものが散らばっている。

花蓮には台湾のアミ族をはじめ多くの先住民が暮らしており、市内の「樹屋風味」や光復という街にある「紅瓦屋」というレストランではアミ族料理が楽しめる。トビウオやイノシシ、粟などを用いた先住民の食文化は独特な上に味も美味しく、台湾の多様性を感じられる食体験になるだろう。

 

写真提供/一青妙

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エッセイスト・女優・歯科医。台湾人の父と、日本人の母との間に生まれ、幼少期は台湾で暮らした。現在、台南市親善大使や石川県中能登町観光大使に任命され、日台の架け橋となる文化交流活動に力を入れる。家族や台湾をテーマにエッセイを執筆し、著書の『私の箱子(シャンズ)』『ママ、ごはんまだ?』(共に講談社)を原作にした日台合作映画『ママ、ごはんまだ?』がある。趣味はサイクリング。最新作は、台湾一周を自転車で走った体験記『環島 ぐるっと台湾一周の旅』(東洋経済新報社)。今回の連載で取り上げる花蓮に関する詳しい内容は『わたしの台湾・東海岸「もう一つの台湾」をめぐる旅』(新潮社)に記載されている。

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