あまり語られることのない、ボーイング787-9のクセになる乗り心地
昨秋就航した「サンフランシスコ=シンガポール」路線
私は、最近シンガポールに出張したのですが、旅程を通じてこの「ダッシュ9」の恩恵を痛感しました。そのご報告をしたいと思います。まず、地元のニュージャージー(EWR:ニューアーク国際空港)からシンガポールの直行というのは、以前SQ(シンガポール航空)がエアバス340を使って19時間フライトというのをやっていたのですが、今は運休になっているので結局UAをチョイスしました。
UAは長い間、北米からシンガポールへの航路は、成田ハブもしくは香港乗り継ぎを推奨しており、NRT(成田)=SIN(シンガポール)とHKG(香港)=SINの2路線をデイリーで維持していたのです。ところが、正に「787」を使った「ポイント・トゥ・ポイント」戦略の教科書通り、この乗り継ぎを廃止して、その代わりにまず「SFO(サンフランシスコ)=SIN」という超長距離路線を開設、更に昨年秋からは、もっと長い「LAX(ロサンゼルス)=SIN」という路線を就航させています。
SFO経由でも良かったのですが、何と言っても「新しいUAの最長ルート」ということで、今回はLAX乗り継ぎを選択しました。それはともかく、その「LAX=SIN」の長距離フライトの前にも、実は色々と驚きがありました。
まず最初のEWR=LAXのポーションは普通の国内線で、今回はアップグレードに失敗したので、仕方なしにジュースをもらって我慢していたのですが、驚いたことにYキャビンであるにも関わらずホットミールが出たのです。そういうことをするらしいという話だけは、UAのプレスリリースで見ていたのですが、個人的には半信半疑でしたので、本当に出てきたのは感動でした。
アメリカの国内線のYキャビンでホットミールが無料で全員に出るというのは、考えてみれば911前の90年代以来だと思います。中身はインド風のチキンカレー、要するにカレーライスで、フルーツと、チョコレート・ブラウニーのデザートまで付いていました。
もっと驚いたのは、LAXのターミナル7です。長い間工事をしていて、余り良いイメージがなかったのですが、徐々に出来てきており非常に開放的で美しいターミナルになりつつあったのです。強烈だったのはUAのラウンジで、Cクラスの「ポラリス・ラウンジ」ではない普通の「ユナイテッド・クラブ」というラウンジだったのですが、広大で清潔なだけでなく、コンテンポラリーで明るく、しかもミールも充実していて、「本当に北米系?」という感じでした。
さて、本題の超長距離フライトですが、今回はUA37便でターミナル7のウィング突端の76Bからの乗機です。UAとの「くされ縁」の関係で、グループ1乗機のできる私は、Cキャビンを駆け抜けてサッサとYキャビンに乗り込みました。この787「ダッシュ9」は非常に新しい機材で、薄型のシートは整然と並び、青く光る大型のディスプレイ、そして同じく青く光るUSBポートなどが未来感を演出しています。
この日の「エコノミー・プラス」キャビンの乗機率は60%ぐらいで、UAにしてはスムーズに全員が乗機、手荷物も頭上ビンに収まってドア・クローズ。定刻少し前にプッシュバックして2基の巨大エンジンにパワーオン。22時台にも関わらず離陸は5機待ちとかで多少遅れたものの、22時35分には右側通行のランウェイ25Rからスッと離陸しました。