あまり語られることのない、ボーイング787-9のクセになる乗り心地
国際線を中心に運行しているボーイング787-9、通称『ダッシュ9』。先日、ロサンゼルスからシンガポールへの長距離フライトで、この機に搭乗したというアメリカ在住の作家・冷泉彰彦さんは、思わずクセになる飛翔感と極上の乗り心地の良さを体感したとのこと。現行の他の旅客機にはないその快適さの秘密を、自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』にて解説しています。
ボーイング787は何が「ドリーム」なのか
ボーイング787という飛行機は、「ドリームライナー」というニックネームがあるわけですが、開発からローンチ、そして各メジャーなキャリアの主力機として活躍中の現在に至るまで、何が「ドリーム」なのかということについては、余り語られていないように思います。
例えばアメリカのUA(ユナイテッド)は北米では787の導入は一番早かったですし、かなり宣伝キャンペーンもしているのですが、「新しい機材」だとか、窓のサンシェードがLCDだとかいう話ばかりですし、NH(ANA)などでもトイレにウォシュレットが付いているという話が、一番の「ウリ」だったりします。
一方で、ビジネス雑誌などでは「炭素繊維を使ったボディの軽量化で省エネ」だとか、「航続距離が長い中型機」なので「ポイント・トゥ・ポイント」つまり「巨大機で結ばれたハブ空港」と「小型機による枝線(スポーク)」ではなく、遠く離れた中規模都市間を直行するようなビジネスモデルに合った機材という話が出ています。
どちらも本当ではあるのですが、これでは航空会社側のメリットばかりであり、肝心の乗客の視点からは、一体どんな利点があるのか分からないということになります。「ドリーム」というのはキャリアの経営側が言っているだけで「夢の高利益率」という意味……これでは、そんな言われ方をしても仕方がありません。
ですが、乗客にも大いにメリットはあるのです。と言いますか、この787に慣れてしまうと、現在の大型主力機である777などは、仮に最新最大の「ダッシュ300ER」でも古臭く感じるぐらいで、787にはそのぐらいの先進性があると言ってもいいと思います。
その素晴らしさですが、最初に出てきた「ダッシュ8」という少し小さなタイプでも十分味わえるのですが、何と言っても圧倒的なのは最新の「ダッシュ9」という、胴体を延長し航続距離を更に伸ばした機材です。