あまり語られることのない、ボーイング787-9のクセになる乗り心地

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2018/04/10

「ダッシュ9」の恩恵を痛感した17時間半のフライト

さて、ここからが787の真価を発揮する場面です。過去の、つまり20世紀に作られた747とか777といった大型機の場合は、長距離フライトで給油満タン状態ですと、一気に巡航高度までの上昇はしません。そんなことをしたら、重い燃料を猛烈な燃料消費で持ち上げなくてはならず、航続距離も燃費も悪化してしまうからです。ですから、少し上がっては水平飛行にして燃料を減らし、機体が軽くなるとエンジンの唸りを上げて上昇、ということを数回繰り返して巡航高度まで行くわけです。

ところが炭素繊維で作られた軽量の787の場合は、機体が軽いために上昇に要する燃料も少ないわけで、一気に上昇ができるし、それが一番効率が良いわけです。とにかく、全く息をつく間も無くガンガンというか、スムースにグイグイ上昇して行くわけです。その飛翔感というのは、意識しないで乗っていると「気がついたらもう巡航に入っていた」ということになるような快適なものですが、同時に意識して乗っていると、とにかく「宇宙に向かって上がっていくような」飛翔の感覚になるのです。これはクセになります

UAにしても、日系のNHやJLにしても、この上昇時の飛翔感をどうして宣伝しないのか理解に苦しむ、そのぐらいの素晴らしい上昇です。注意して見ていましたらテイク・オフから24分で34000フィートに達し、エンジン出力が下がって巡航モードに入っていました。

LA時間でもう遅いこともあり、すぐに1回目のミールサービスがありましたが、とにかくフライトタイムが17時間半という超長距離ですから、飛行機で眠るのが趣味である私としては、とにかく「寝ごたえのある」フライトというわけです。その「寝心地」がまた素晴らしいのです。

これも具体的な理由があります。まず、炭素繊維の機体ですから腐食の可能性がないわけで、そのためにキャビン湿度が高めに設定されています。実は、キャビン内の空気のクオリティを維持するために「加湿器付きの空気清浄機」が稼働しているわけで、フライト中に良く発生していた鼻とかノドの違和感というのは、ほとんどゼロになります。

また減圧もそれほど必要ないので、目的地に向かって降下する際の加圧による耳の違和感もほとんどありません。更に言えば、全面的に衛星による管制を受けての飛行であるために(この点は旧型世代機も一緒ですが)、気象条件の悪いところは自在に迂回できるわけです。また双発機でエンジンが2発しかないので、普通は大洋の真ん中へ出るのは禁止されているのですが、1発でも長距離の避難フライトが可能な設計のために、100%とは行かないまでも太平洋上の「ほぼどこでも飛べる」認可を受けています。

また、巡航速度が速いことと、燃料効率が良いということで、必要な場合は悪天候を避けての大胆な迂回も可能です。ですから、旧型機と比較すると信じられないようなフレキシブルな航路を選択して、タービュランス(乱気流)を回避することができるわけです。

ちなみに、今回はLAXから上がって、太平洋をかなり北へ向かい、ミッドウェイとアリューシャンの中間から小笠原、フィリピン群島上空を斜めに突っ切ってという大圏航路に近い感じでした。

そんなわけで、4回のミールサービスを含む17時間半のフライトタイムは全く快適でした。十分に眠り、十分に仕事をし、ということで充実した17時間半だったとも言えます。それもこれも、「ダッシュ9」の恩恵が大きかったわけです。


チャンギへの到着は午前6時過ぎということで、日中の疲労が心配されましたが、この点に関しても全く問題はなく、機上での休息の質が確保できたことが証明された格好です。

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