逆境に打ちかった不屈のホテル王「ヒルトン」が残した教訓

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2018/04/17

コンラッド・ヒルトンゆかりの「ルーズベルト・ホテル」

現在、「ヒルトン」を冠するホテルは、マンハッタンに数えきれないほどありますが、ヒルトンホテルの創始者コンラッド・ヒルトンが携わったホテルは5軒だけでした。

年代順に見ますと、1943年にザ・プラザルーズベルト・ホテル、1949年にウオルドルフ・アストリア、1954年にホテル・ペンシルバニアをそれぞれ買収。1963年にオープンしたニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウンは、ロックフェラー財団を含んだ他企業との共同開発でした。

コンラッド・ヒルトンがザ・プラザをとても愛していたことは語り継がれていますが、彼が暮らす場所として選んだのは、そのザ・プラザでも、後に大統領の定宿になり続けたウオルドルフ・アストリアでもなく、ルーズベルト・ホテルでした。

1924年にマディソン・アベニューの45ストリートと46ストリートの間に建設されたホテルは、セオドア・ルーズベルト大統領の名を冠し、ルーズベルト・ホテルと名づけられました。アメリカホテル史上、このホテルが初めて行ったことはいくつもあります。

たとえば、全ての部屋にテレビを入れたこと。ホテル内にドクターを置いたこと。そして、子供の預かり所を設けたことなどです。託児はルーズベルト大統領が生みの親となったテディーベアから名づけられた「テディーベア・ルーム」にて行われていました。

1943年にコンラッド・ヒルトンがルーズベルト・ホテルを購入したとき、彼はここを「大きく優雅な空間を保有するホテル」と表現しました。絢爛豪華なロビーの雰囲気は時代を経ても褪せることなく、今なお華々しさを誇っています。

エントランスを入って階段を上がると、左手に「マディソン・クラブ・ラウンジ」があります。そこは樫木で囲まれたとても落ち着きのあるバー。カウンターに座ってカクテルを飲んでいる人。家族でテーブルに腰かけてコーヒーを飲んでいる人々。その雰囲気はまるで超豪華ホテルにある高級ラウンジのようです。

また19階にあるルーフトップバー「MAD46」は知る人ぞ知るお洒落なバー。ゆったりとした雰囲気の中に、摩天楼の灯りが揺らめいています。

爆発的に増えていくマンハッタンのホテル。その中で、静かに目立たず、しかし多くのファンの心をつかんでいる存在。コンラッド・ヒルトンがルーズベルト・ホテルを暮らす場所として選んだ理由は、そこにあったのかもしれません。


image by:The Roosevelt Hotel

 

The Roosevelt Hotel
45 East 45th Street at Madison Avenue, New York City, NY 10017

 

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奥谷啓介、NY在住。慶応義塾大学卒業後、ウエスティンホテルズ入社。シンガポールのウエスティン、サイパンのハイアット、そして世界屈指の名門ホテル・NYのプラザホテルに勤務。2001年米国永住権を取得、現在はNYを拠点に執筆&講演&コンサルタント活動中。日米企業にクライアントを持ち、サービス・売り上げ・利益向上の指導からPR&マーケティングまでのマルチワークをこなす。

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